東芝デジタル&コンサルティング(TDX)は,世界最大手の自動車プレス部品メーカーである,スペインのGestampと,Gestampのドイツ工場で,カメラ画像データとAEセンサーデータを活用したAIやIoTによる,シャシー部品の溶接検査に関する実証実験を開始した(ニュースリリース)。
Gestampは,世界22カ国に100以上の工場を有する,世界最大手の自動車プレス部品メーカー。同社は現在,工場の生産性と信頼性向上に向けて,Industry 4.0チームを社内に組成し,デジタル技術とデータを活用した各種プロジェクトに取り組んでいる。
TDXは,Gestampと2018年4月から,同社の英国工場において部品溶接検査に関するPoC(概念検証:proof of concept)を実施。これまで橋梁や大規模ビルなどの損傷検知などで活用されていたAEセンサー(アコースティック・エミッションセンサー)を工場の製造工程に導入し,東芝のAIや分析技術により,従来に比べてより高精度な溶接検査を可能としたことがGestampに高く評価され,今回の実証実験の合意に至ったという。
今回のプロジェクトで,TDXは,TDXとGestampの双方への出資者である三井物産と,このプロジェクトの成立に向けて取り組んできた。今後,TDXは,東芝,東芝デジタルソリューションズと共に,分析技術を活かした画像データによる表面検査,AEセンサーによる内部検査を組み合わせたソリューションにより,高度な溶接検査の実現を目指す。
東芝グループと三井物産は,来年3月までGestampのドイツ工場での実証実験を進め,不良検出率の精度をさらに高めるとともに,Gestampの他工場への水平展開と,本格商用化に向けた取り組みを加速するとしている。