大阪大学の研究グループは,動作中の金ナノギャップ電極表面の構造が原子スケールで連続的に変化する現象を,世界で初めて明らかにした(ニュースリリース)。
金は化学的に不活性な金属であり電極材料として広く利用されてきたが,実際に動作中の電極表面の原子スケールの構造はこれまで明らかにされていなかった。
これまで,固体表面の構造は電子励起によって変化することが知られており,その反応メカニズムを解明する試みが多くなされてきた。しかし,実際に動作中の電極表面における反応を実時間,実空間,実環境で観察(その場観察)することは困難だった。
研究グループは,高い空間分解能と時間分解能を有する環境制御型透過電子顕微鏡を用いることにより,動作中の金ナノギャップ電極表面の原子スケールの構造変化をその場観察で捉えることに成功した。
具体的には,酸素ガス中において電圧印加に伴う電極表面の結晶構造の変化を初めて明らかにし,この現象がトンネル電子とガス分子との反応によって引き起こされることを解明した。さらに,ナノギャップ間を金原子が移動する様子をその場で可視化することに成功し,その連続的に変化する構造が金の酸化物であることを解明した。
この研究成果は,ナノギャップ電極におけるトンネル電子とガス分子との反応メカニズムの解明と,新たなナノ材料の開発に繋がることが期待されるものだとしている。