国際体操連盟(FIG)は,「第49回世界体操競技選手権大会」において,富士通と共同で開発しているLiDARを用いた3DセンサーとAIを活用した体操競技における採点支援システムを,あん馬,つり輪,男子跳馬,女子跳馬の4種目に正式導入する(ニュースリリース)。
FIGと富士通は2017年に提携し,体操競技においてより公平かつ正確でリアルタイムな採点の実現を目指し,採点支援システムの実用化に向けて共同で開発に取り組んできた。2018年にカタールで開催された「第48回世界体操競技選手権大会」で同システムの技術検証を行ない,「第49回世界体操競技選手権大会」での採用を決定した。
その後,2019年4月に東京で開催された「2019体操ワールドカップ東京大会」,6月にハンガリーで開催された「第1回世界ジュニア体操競技選手権大会」での同システムの実運用テストを経て,2019年10月4日から13日にドイツで開催される「第49回世界体操競技選手権大会」における同システムの正式導入がFIGにより承認された。
このシステムは,大会の審判業務で指揮監督を行なう上級審判員が,審判の採点結果に対して疑念を抱いた際,もしくは選手団からの申し立てがあった場合に,FIGが2005年の世界体操競技選手権大会より使用しているビデオ判定システムInstant Replay and Control System(IRCOS)とともに,演技の検証に使用される。
このシステムは体操競技において,LiDARを用いた3DセンサーとAIを活用し,競技者の動作をセンシングし数値データとして分析する。演技の技をシステム画面上に3Dで表現し,さまざまな角度からの閲覧を可能とすることで,公正かつ正確な採点を支援するという。
両者は,引き続き開発検証を進め,残り6種目へ採点支援システムの適用を拡大する予定。このシステムにより入手するデータは,けがのリスク抽出や競技者の動きの強化,姿勢の矯正に役立つ可能性があり,今後は採点支援システムのほか,教育やコーチング,トレーニングの分野での活用を推進していくとしている。