沖縄科学技術大学院大学(OIST)らの研究グループは,太陽光発電の変動を定量化して比較するための,新たな標準化手法を共同開発した(ニュースリリース)。
太陽光は,雲の量や,時間の移り変わり,空気中の粉塵など常に変動する要因による影響から,測定する場所によって変化するため,これまで太陽光発電の変動を比較する基準はなかった。
太陽光発電の出力の変動は「パワースペクトル」と呼ばれる数値によって評価される。パワースペクトルを使用すると,太陽光発電所で生成される出力変動を定量化することができる。ただしこの数値は雲の範囲や空気中の塵などで変化するため,世界各地の異なる場所の発電所間で比較することはできない。
各地の太陽光発電所のエネルギー生産を有意義に評価するには,標準的な基準が必要となる。その基準を定めるため,研究グループは,雲や塵などの干渉を除外した太陽エネルギーの出力を電磁波として定量化する晴天指数について調べた。
2009年の晴天の日のデータ分析の結果,ベースとなる太陽照度は,日中の日照時間の変化に依存するパターンに沿っていることが明らかになった。
研究グループは,地球上の特定の場所でベースとなる日射量を測定することは,その地点での太陽光発電スペクトルを比較する際の信頼できる基準となる,と結論づけた。雲やその他の干渉要因の変動があっても,地理的な場所こそが,太陽光発電の出力に確実に影響を与えるという。
研究グループは,今回の研究は太陽光発電の出力変動の特徴を理解する上での最初の障壁を越えたものであり,言うなれば測定に使うための定規を手に入れたようなもので,太陽エネルギーを電気に変換する太陽光発電ファームの開発と,その効率における指針になるものだとしている。