積水化学,独でHUD対応コンセプトカーを出展

積水化学工業の高機能プラスチックスカンパニーは,2019年9月22日までドイツで開催されている,世界最大のモーターショー「IAA2019(フランクフルトモーターショー)」に出展し,コンセプトカーを初めて公開する(ニュースリリース)。

欧州は,自動車業界において新技術が積極的に導入されるトレンドの発信拠点でもある。同社は欧州を重要なエリアととらえ,欧州でのリサーチ・マーケティングを行ない研究開発につなげる欧州研究センターをオランダに設立した。

また,生産面でも欧州は重要なエリアで,中間膜,フォーム等の生産拠点を構えている。加えて,各事業の欧州における生産能力増強を進め,中間膜事業においては,HUD対応くさび形中間膜等を生産できる新製膜ラインが2019年10月,中間膜原料樹脂の新ラインが2020年4月にオランダで稼働を予定する。放熱材料事業においても,オランダに新工場の建設を進め,工場の稼働開始は2020年春~夏ごろを予定している。

今回,同社は総合素材メーカーとして,車輌・輸送分野においてさまざまなソリューション提供を目的に,新製品を含む約40種類の製品を搭載したコンセプトカーを制作し,IAA2019に出展した。

今回採用された代表的な製品として,合わせガラス用中間膜では,ガラスの貫通・飛散防止や紫外線カットなどの基本機能に加え,遮音・遮熱・HUD対応などの高機能を付与した。なお,コンセプトカーには,フロントガラス全面に情報を表示できる「自発光機能」を付与した中間膜を採用している。

また,ポリオレフィンフォームは,主に内装の下地材やHVAC(冷暖房空調設備)の断熱材として使用されている。内装の下地材として,柔軟性と形状保持を両立する高機能のポリプロピレン製フォームを中心に,主に高級車向けに採用されている。

このコンセプトカーには,従来なかった光透過性を付与した開発品を搭載している。この開発品は,特にインパネまわりを中心に内装のデザイン性を向上させる素材として,今後各自動車メーカーに向けて提案を進めていくという。

カラーカーボンは,炭素繊維のテキスタイルに金属をスパッタリングした素材。金属の種類によってさまざまな色を表現することができるため,カラーカーボンを使ってCFRP成型品を生産すると,塗装せずに高いデザイン性を付与することができる。現在,自動車メーカーやTier1メーカーに内外装用部材として採用活動を推進している。

放熱グリスは,室温で硬化可能。同社グループでは,電気自動車の動力源として搭載されるバッテリーの熱対策としての提案を進めている。

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