新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこれまで取り組んできた,生活習慣病の予兆検知やウイルス感染の拡大防止,防災・減災による安全・安心な街づくりに貢献する光技術などによる超微小量センシングデバイスの開発について,これらデバイスの信頼性評価技術の開発に着手したと発表した(ニュースリリース)。
日本では,人口減少や少子高齢化,エネルギー・資源の制約などにより,医療・介護費の増大,地域の人手不足や移動弱者の増加,インフラ維持管理の負担増といった社会課題が顕在化している。
これらを解決するため,NEDOはサイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させる革新的なセンシング技術により,人やあらゆる「もの」からの豊富なリアルデータで現場の課題を精緻に見える化し,顕在化するさまざまな社会課題の早期解決と新産業の創出を両立する,未来社会Society 5.0の実現を目指し,超微小量センシングデバイスに関する4つの研究開発に取り組んできた。
現在開発を進める超微小量センシングデバイスは,通常では外部環境やデバイス内部からのノイズに埋もれてしまうような極めてわずかな血中成分やウイルス,地盤振動などを光学技術などで検出することを目的としているが,検出素子に到達・反応する測定対象の量や得られた信号などをノイズに左右されずに正確にして精密に計測し,応答するデバイスの信頼性を正当に評価することが非常に難しい。
この課題を解決するため,開発中の超微小量センシングデバイスに対応した評価システムの構築や標準物質の開発など,デバイスの信頼性評価技術開発に着手した。事業名は,IoT社会実現のための超微小量センシング技術開発/研究開発項目②「超微小量センシング信頼性評価技術開発」,事業期間は2019年度~2023年度,実施予定先は産業技術総合研究所となっている。
これによりデバイスの開発段階から信頼性評価技術の確立を並行して進め,デバイスの信頼性向上に向けた検討を加速し,超微小量センシングデバイスの早期の社会実装を目指すとしている。