東大ら,豪の海底洞窟で光るクモヒトデを発見

東京⼤学,中部⼤学,沖縄県⽴芸術⼤学の研究グループは,オーストラリア領クリスマス島の海底洞窟から新種の光るクモヒトデを発⾒した(ニュースリリース)。

クモヒトデ類(クモヒトデ綱)は,ヒトデ類やナマコ類と同じ「棘⽪動物⾨(ヒトデ,クモヒトデ,ウニ,ナマコ等が含まれる動物のグループ。星形の体制などを共有する)」のグループの1つで,世界に約2100種,⽇本からは340種ほどが記録されている。

クモヒトデ類の基本的な体のつくりはヒトデ類によく似ているが,ヒトデ類のように腕に歩帯溝(ヒトデの腕の⼝側に縦に伸びる溝で,ここから多数の管⾜(触⼿)が出る)を持たないことから区別される。

今回発見されたクモヒトデは,盤(体中央の5⾓形の部分)の直径が6mm,腕の⻑さが85mm程度の⼩型種。海底洞窟内の砂泥底質中に埋没して⽣息しているが,掘り起こして刺激を与えると,5本の腕にビリビリと電気が⾛るかのような緑⾊の閃光を呈すること(発光すること)が確認された。海底洞窟に特化して⽣活する発光⽣物は今回が初めての報告という。

オフィオプシラ属のクモヒトデで,クリスマス島で発⾒された発光する⽣物という特徴から,研究グループは学名を「オフィオプシラ属クリスマスイルミナンス(Ophiopsila xmasilluminans)」と名付けた。また和名を「ドウクツヒカリクモヒトデ」とした。

海底洞窟に特化して⽣活する発光⽣物はこれまで例がなく,その⽣態や適応進化などの点でも興味深いという。このクモヒトデは,近縁種に⽐べて腕が⻑く,これは餌に乏しい洞窟内で効率よく餌を探すための適応だと考えられる。

また,このクモヒトデの発光の役割は不明だが,敵に襲われた時に光ることでより⼤きな敵の敵を呼び寄せる「光のSOS」ではないかと推測している。研究グループは今後,さらなる⽣態・⾏動・発光メカニズムに関する研究の進展が期待できるとしている。

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