富士経済は,医療・介護,建設,インフラ点検,物流・搬送,オフィス・店舗,農業など幅広い業界において需要が増加している業務・サービスロボットの世界市場を調査し,その結果を「2019ワールドワイドロボット関連市場の現状と将来展望No.2 業務・サービスロボット市場編」にまとめた(ニュースリリース)。
この調査では,業務・サービスロボット26品目,AI・人工知能/RPA6品目,ロボット向け注目構成部材3品目,ロボット関連サービス3品目の市場を調査・分析し,将来を展望した。
これによると,業務・サービスロボットは深刻化する人手不足や人件費の高騰などによるロボットの役割の広がりを背景に市場拡大が続いている。特定の業界だけではなく,医療・介護,建設,インフラ点検,物流・搬送,オフィス・店舗,農業などさまざまな業界において,ロボットのニーズは世界的に高まっている。
医療・介護用ロボットでは手術支援ロボットの市場規模が大きいという。市場は米国が中心だが,日本でも手術支援ロボットの保険適用範囲が拡大されたことで普及が進むと予想している。
2018年から2025年にかけて移乗ロボット,排泄支援ロボットが大きく伸長するとみる。パワーアシスト・増幅スーツは医療・介護のみならず製造業,物流,建設など幅広い分野で採用が広がると推測する。
家庭用ロボットは趣味や家事などの利便性の向上を目的に需要が増加している。スマートスピーカー,家庭用清掃ロボット,パーソナルモビリティは2018年時点でそれぞれ1,000億円を超える市場規模であり,家庭用ロボット市場をけん引している。2019年には衣類折りたたみロボットの市場が立ち上がるとみる。
建設・レスキュー・インフラ点検用ロボットは現場における人手不足解消や省人化,業務効率化,危険な場所の作業代替などを目的にロボットの導入が進められている。インフラ点検ロボットはインフラの老朽化が進む中,人手不足も相まって世界的に需要が増加している。レスキューロボットは国防,災害対策など用途が限られるため,市場規模は小さいものの安定した需要で堅調に拡大するとみる。
物流・搬送用ロボットではAGV(自動搬送台車)が市場をけん引している。2017年に市場規模は1,000億円を超え,今後もeコマースの需要増加に伴い物流向けを中心に成長が期待できるという。デリバリーロボットは省人化につながるとして飲食店や病院で需要が増加している。自動運転トラックは技術開発,実証実験を経て2021年頃から市場が立ち上がるとみられ,ドライバー不足を解決する手段として注目されている。
オフィス・店舗用ロボットはRFID技術の向上により,日本を中心にレジロボットが一気に拡大するとみる。また,国内では2020年の東京五輪に向けて受付案内ロボット,自律型受付案内ロボット,業務用セキュリティロボットの需要が増加するとしている。