日本電信電話株式会社(NTT)は,シャノン限界を達成しかつ実行可能な通信路符号(誤り訂正符号)「CoCONuTS」を実現した(ニュースリリース)。
雑音のある環境下でも正しく情報を伝える技術は「通信路符号」あるいは「誤り訂正符号」と呼ばれており,光通信や無線通信に限らず,計算機の内部やハードディスク・光ディスク等の記録装置,スマートフォン等で情報を読み取るための2次元コード等に応用されている。
雑音のある環境(通信路)が与えられたとき,正しくメッセージを伝えることができる効率には限界があり,「シャノン限界」と呼ばれている。その後,シャノン限界を達成する実用的な符号としてLDPC符号やポーラ符号が開発され,近年の第5世代移動通信システム(5G)に実装されている。
しかし,これらの符号がシャノン限界を達成するのはある特殊な通信路に限られており,一般の通信路では限界を達成できない。
今回,研究グループが開発した技術は,「拘束条件を満たす乱数生成器」を用いることにより,限界を達成するあらゆる通信を実現することが可能あることから,CoCoNuTS(Code based on Constrained Numbers Theoretically-achieving the Shannon limit)と名付けられている。この技術を通信路符号へ応用することにより,シャノン限界を達成できることを数学的に証明した。
また,シミュレーション実験により,従来のLDPC符号ではシャノン限界を達成できなかった通信路に対して,提案法が従来法を超える性能を持つことを確認したという。
研究グループは,この技術を用いることで,既存の方法よりも効率の良い通信が実現できるとし,今後,光通信や無線通信技術などに,この技術を応用していく予定としている。