大日本印刷(DNP)は,低い反射率と優れた耐擦傷性を両立した反射防止(LR:Low Reflection)フィルムを開発した(ニュースリリース)。
反射防止フィルムは,テレビやデジタルサイネージ,カーナビゲーションやパソコン等のディスプレーの最表面に用いて,照明や外光の映り込みや眩しさを抑えて,画面を見やすくさせる光学フィルム。
近年,人が指で直接ディスプレーに触れて操作するタッチパネルとしての利用が増えており,また,画面の拭き取りなどによって擦り切れて傷が付くこともあり,その改善策が求められていた。しかし,その耐擦傷性は,光が映り込まないようにフィルムの反射率を低くすることによって悪化してしまうという課題があった。
今回同社は,フィルムにコーティングする材料を新たに開発するとともに,生産プロセスを見直すことによって,同社の従来の反射防止フィルムと比べて,より低い反射率と優れた耐擦傷性を両立させた反射防止フィルムを開発した。
具体的には,開発品の反射率は0.3%で,耐擦傷性はスチールウール試験で1,500gを達成した。従来品では,反射率が1.0%で耐擦傷性は700gであったことから,「耐擦傷性/反射率」において約7倍もの大きな改善を達成したことになる(1,500g/0.3%:700g/1.0%)。
また,防汚性と埃付着防止性が高く,指紋などの汚れが付きにくく,拭き取りやすいため,画面をクリーンな状態に保ち続けやすくなる。フィルムから光が自然な色で反射するため,違和感のある色として気になることが少なくなる。視野角も広く,横からの視認性にも優れており,アルカリ性の液体などへの耐性も高いという。
この製品は,従来の反射防止フィルムでは利用が難しかったタッチ機能付ディスプレーをはじめとする,さまざまな用途に広く展開できるとしている。