新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は,太陽光発電システム搭載自動車検討委員会の中間報告書第2報を公表した(ニュースリリース)。
地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」における「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保つとともに,1.5ºCに抑える努力を追求する」という目標達成に向け,大気汚染防止のため,エネルギー需要の大部分を化石燃料に頼っている運輸部門では電動化の動きが加速している。
電動自動車においてCO2削減効果を最大限に引き出すためには,動力に対し再生可能エネルギーから電力供給を行なうことが有効な手段となる。太陽光発電システム搭載自動車は充電の負荷を低減できるとともに,短距離であれば充電ステーションなどのインフラの制約を受けずに走行することができるため,電動自動車の普及拡大と,より大きなCO2削減効果を見込むことができる。
NEDOは,2016年4月に「太陽光発電システム搭載自動車検討委員会(検討委員会)」を設置し,太陽光発電システム搭載自動車の実現による効果の検討を開始した。2018年1月には中間報告書として,「太陽光発電システム搭載自動車は,運輸部門のCO2排出量削減に貢献することができ,利用パターンによっては,年間の充電作業回数をゼロとすることも可能である」との試算結果を公表した。
また,検討委員会では,自動車に搭載した太陽電池が受光・取得可能な日射量(以下,取得日射量)や発電電力量は建物の屋根・屋上などとは異なり,走行により瞬時に影となる部分が動いたり,入射方向が変わったりするため,その定量的な評価が必要であることを課題の1つと示した。
この結果を受けて,NEDOは,日本気象協会,宮崎大学と協力し,自動車に日射計を搭載して走行時に取得する日射量を計測し,その結果を中間報告書にした。
この中間報告書では,「太陽光発電システム搭載自動車の取得日射量は,道路沿いの建物や樹木,電柱などの影により低下することがあるが,建物などからの反射により,自動車が取得する日射量が建物の屋根・屋上などよりも大きくなる可能性もある」ことを公表した。
さらに,太陽光発電システム搭載自動車の本格的な開発普及に向けて,取得日射量のデータの拡充や,データの活用方法の検討が必要であることも記載した。
なお,今回の中間報告書は,太陽光発電システム搭載自動車の実現による効果の試算結果を2018年1月に公開したものに続くもの。この中間報告書は,ダウンロードできる。