オムロンは,4月16日開催の取締役会において,同社の保有するオムロンオートモーティブエレクトロニクス(OAE)の全株式を,日本電産へ譲渡することについて決議し,日本電産と最終契約を締結した(ニュースリリース)。
OAEは,1983年にオムロン(当時,立石電機)の車載電装事業部として発足して以来,世界初の赤外線式キーレスエントリーや電動式パワーステアリングを開発するなど,自動車産業の発展に貢献してきた。
その後,2010年にはオムロンの100%子会社として分社・独立し,現在は,ボディシステム,モーター制御,アクティブセーフティ,電源制御の4事業を中核事業と位置付けている。
現在,CASE(コネクティッド,自動運転,シェアリング,電動化)などに代表される技術革新やビジネスモデルの進化を背景に,自動車/自動車部品業界は100年に1度の大変革期に突入し,自動車業界の構造も大きく変化しつつある。
同社はこのように大きな変革の中で,OAEが独立した車載電装部品メーカーとして,今後も自動車業界で社会的課題の解決に取り組み続けていくためには,OAEが強みとする制御技術や製品に,他社が保有する強い技術と製品を掛け合わせることで,より大きな新しい価値を創出することが不可欠と判断した。
具体的には,車載部品を成長領域と定義し,投資意欲と能力をもち,CASEの領域で強固な技術・製品を保有する企業のもとでOAEの事業を加速させていくことが最良の選択肢であるとした。
一方,日本電産は,世界最大級のモーターメーカーで,車載モーター事業を戦略的に重要な事業の1つと位置づけ,多様な投資によって事業の拡大を進めている。両社は,ADAS(AdvancedDriver Assistance System)領域で補完関係にあり,特に,日本電産エレシスは電波レーダー及びカメラ関係製品に強みをもっており,OAEはレーザーレーダー及びドライバモニターシステム関係製品に強みを持つ。
両社の製品群を足し合わせることで,将来の自動運転のためのセンサー製品群がほぼ揃う形となるため,譲渡後は日本電産グループが,自動運転技術をサポートする多様なセンサー製品群を提供していけるようになるとしている。
なお,譲渡手続きは必要な認可等が得られたのち,完了する予定。2019年10月末を目途としている。