富士キメラ総研は,「コネクト」「自動運転」「シェア&サービス」「電気自動車」(CASE)をキーワードに進展し自動車の電装化を支えるシステムやデバイスなどの市場を調査し,その結果を「車載電装デバイス&コンポーネンツ総調査2019《上巻:システム/デバイス編》」にまとめた(ニュースリリース)。
それによると,2030年世界市場予測(2017年比)における調査対象市場のうち,ADASは1兆1,513億円(2.4倍),自動運転システムは2兆2,108億円(451.2倍)となる。
ADAS市場はADASの主体となるセンサーと情報処理を行なうECUで構成されるユニットを対象とした。なお,自動化レベルの定義では,レベル1「安全運転支援」とレベル2「部分的な自動化」にあたる。
ADAS搭載の義務化の流れが各国・地域で進み,堅調な市場拡大を予想している。2020年代前半は日本や北米,EUを中心に衝突安全防止機能の採用が進むとみており,2025年までに搭載率は生産車ベースで80%以上になると予測する。
現状,中国市場は欧州や北米に比べると小規模であるが,2021年頃から急激な需要増加が予想され,2030年までには最大規模の市場になるとみる。また,センシングデバイスの低価格化が進行しているため,新興国・地域でも簡易的なADASの採用が進むと期待できるという。
自動運転システムは,ADAS開発の延長線上に位置するが,自動化レベルの定義では,レベル3「条件付き自動化」,レベル4「高度な自動化」,レベル5「完全自動化」を実現するシステム。現状,一部の欧米系自動車メーカーから自動運転車が発売され,システムの需要も各国・地域別ではEUが大半を占める。2020年には日系を含む複数の自動車メーカーがレベル3の自動運転車の投入を計画し,各国・地域で市場は急拡大するという。
現在はシステムを構成する主要デバイスであるレーザースキャナー(LiDAR)が高価格なこともあり,自動運転システムの搭載は一部のハイエンド車にとどまっている。しかし,2021年頃からMEMS式などの安価なLiDARの採用が始まることで自動運転システムの低価格化が期待でき,市場拡大を後押しするとみる。なお,自動化レベル別では,2020年代はレベル3のシステムが中心となり,レベル4,5のシステムは2030年以降普及すると予想している。
デバイス&コンポーネンツの世界市場は,現状,センサーモジュールや小型モーターなどのセンサーモジュール/アクチュエーターが全体の50%以上を占めるが,今後,環境対応車の普及に伴い,HV/PHV/EV/FCV/環境対策関連デバイスのウェイトが高まるとみる。特に伸びが期待できるのは,センサーモジュール/アクチュエーターではLiDARや二次電池用電流センサー,インバーター用電流センサー。
また,表示/入力系デバイスでは有機ELディスプレーやタッチセンサー,HV/PHV/EV/FCV/環境対策関連デバイスでは車載用充電器やDC-DCコンバーター,インバーターモジュールなどの伸びが期待できるという。これらが市場拡大をけん引し,2030年の市場は25兆3376億円を予測している。