北里大学と昭和大学の研究グループは,蛍光ビーズに乳酸菌由来のタンパク質をコーティングした“擬似細菌”を用いて,マウス消化管における蛍光ビーズの挙動を組織透明化により可視化する手法を確立した(ニュースリリース)。
研究グループは,“乳酸菌など運動能力を持たない腸内細菌が,なぜお腹のなかに定着できるのか?”という疑問を紐解くアプローチとして,細菌の宿主消化管への接着過程について着目してきた。
ムーンライティングタンパク質(二つ以上の役割をもつ多機能なタンパク質の総称)は,乳酸菌をはじめとする多くの腸内細菌において付着因子としての機能が推察されてきた。しかし,消化管での役割は不明な点が多く,解析方法の確立が望まれていた。
その問題点として,(1)細菌と腸上皮間という微小環境で生じる「細菌の付着」と,消化管というマクロ環境における「細菌の定着」を,いかに同時に評価するのか,(2)ムーンライティングタンパク質は,細菌の生存に関わることが多いため遺伝子破壊は困難であり,細菌の定着への関与をどのように証明するのか,という2点があった。
これらの問題を克服するため,研究では,細菌に見立てた蛍光ビーズにムーンライティングタンパク質のひとつである翻訳伸長因子(EF-Tu)を固定し,付着因子としての機能を評価する手法を考案した。さらに,マウス全消化管の透明化により,消化管内の蛍光ビーズの局在を可視化することに成功した。
細菌学と解剖・組織学との技術を融合させたこの評価法は,今後,腸内細菌の定着過程の解明のための新たなアプローチとなることが期待されるとしている。