理研ら,200nmを解像するX線検出器を開発

理化学研究所(理研),高輝度光科学研究センター(JASRI),神島化学工業らの研究グループは,200nmの構造を解像できる高解像度X線イメージング検出器の開発に成功した(ニュースリリース)。

X線画像を高解像度で取得したい場合,薄膜シンチレーターでX線を可視光に変換したのち,レンズで拡大,撮像する方法が用いられるが,これまで500nm前後の構造の解像が限界とされてきた。

研究グループは,X線が可視光へ変換された後の結像過程に注目し,解像度の飛躍的な向上を目指した。具体的には,今回,最先端の透明セラミックス技術を用いてシンチレーターの薄膜化を試みた。

透明セラミックスは空孔を除去し,結晶粒界を蛍光波長よりも十分に小さく抑えることで単結晶と同等の透明性を得ることができる。加えて,焼結現象を利用した固相拡散接合を用いて,直接接合が可能になる。

この特長を活かし,不純物Ceを添加してシンチレーターとして活性化したLu3Al5O12:Ce(LuAG:Ce)セラミックス,支持基板である無添加のLu3Al5O12(略称LuAG)セラミックスを接合した。

厚いLuAG支持基板に支えられたLuAG:Ceシンチレーター層は容易に研磨して薄くできる。また,同母材のLuAG:CeとLuAGは屈折率差が0.1%以下であるため,接合面で光の反射はほとんど起きない。仕上げに,基板両面に光学コーティングを施すことで,全ての界面で光学特性の高い薄膜シンチレーター基板を得ることができた。今回,接合層のない透明な5µm厚の薄膜シンチレーターの開発に成功し,光学特性を大きく向上させた。

このシンチレーターを評価した結果,X線撮像の理論限界に近い200nmの解像力を実現した。また,この性能を用いて,超大規模集積回路(VLSI)デバイス内部の300nm幅配線の撮像に成功した。VLSIの内部微細配線を非破壊かつ実用レベルの画質で可視化したのは世界で初めてとなる。

研究グループは,今回の結果は,開発されたX線画像検出器により簡単に解像度の高い透視像が得られることを示している。SPring-8といった大型放射光施設だけでなく,小型X線源を用いた電子デバイスの非破壊検査などの分野で実用化が期待できるとしている。

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