オハラの極低膨張ガラスセラミックス「クリアセラムTM-Z」が,国内最大となる京都大学3.8m望遠鏡,愛称「せいめい」に採用された(ニュースリリース)。
天体望遠鏡は,外気にさらされた状況で運用されるため,気温の変化に対して熱的・機械的特性が安定なゼロ膨脹材料が必要となる。
この「クリアセラムTM-Z」は,温度変化に対する形状変化が極めて小さいゼロ膨張ガラスセラミックスで,「せいめい」に搭載される口径3.8mの主鏡,2次鏡及び3次鏡のすべてに採用された。「せいめい」の主鏡は,日本初の分割鏡方式で,扇形のこのセラミック18枚で構成されている。
なお,このセラミックは様々な大型天体望遠鏡プロジェクトに採用されているほか,有機ELディスプレー(OLED)などの製造に使用するFPD露光装置,半導体露光装置のミラー材や構造部材としても使用されている。
「せいめい」は,国内最大となる口径3.8mの主鏡を有する光学赤外線望遠鏡。これまで,東アジア地区には口径2.5m以上の光学赤外線望遠鏡が存在せず,この地域で突発的に発生した天体現象の詳細観測データは取得できていなかった。「せいめい」には,これらの観測を通じて,特にブラックホール発生の際に起きると予想されている,ガンマ線バーストと呼ばれる爆発現象の解明が期待されている。
京都大学3.8m望遠鏡ウェブサイト