中大ら,光トポグラフィーでADHD患者のASD併発を診断

中央大学,自治医科大学,国際医療福祉大学,日立製作所は,神経発達症である注意欠如・多動症(ADHD)患者が自閉スペクトラム症(ASD)を併発しているかどうかの早期診断を支援するための基礎技術を開発した(ニュースリリース)。

近年,ADHDとASDの両方の特徴を持つ患者が少なくないことが報告され,両症状の併発の有無に合わせて診断することが必要になっている。しかし,併発有無を見極めるには数カ月にわたる経過観察が必要なため,治療法や療育法の決定に時間がかかり,患者や家族の負担になっていた。

この課題解決に向けて,以前,自治医科大学を中心とした研究により,服薬経験がないADHD患者の治療薬服用前後の脳活動パターンを用いて,ASD併発の有無による病態の違いを可視化できることを明らかにした。今回,研究グループはこの知見をもとに,ADHD患者がASDを併発しているか自動的に解析するアルゴリズムを開発した。

今回の研究では,治療薬の服薬経験のないADHD患者32名(ASD併発患者11名,非併発患者21名)に対して,注意欠如多動症の治療に用いられる薬剤の塩酸メチルフェニデート徐放剤服用1.5時間後に簡単な課題(特定の絵が出た時だけボタンを押す)を実施し,脳反応の光トポグラフィー信号を10分程度計測した。

この計測した信号と数カ月後の診断結果を機械学習した結果,脳の注意関連領域(中前頭回-角回)と運動関連領域(中心前回)の活動量を用いることがASD併発の有無を見分けるのに最適であることがわかった。脳の注意関連領域と運動関連領域の2種類の活動量を2次元的にプロットし,それぞれROC曲線によって決められた適切な閾値を設けることで,最も正確に分類できることがわかった。

研究グループは,今回開発した最適な脳活動部位の信号を用いたアルゴリズムと既発表のノイズ除去アルゴリズムを統合し,自動解析アルゴリズムへの実装を実現した。技術の効果を確認するために,クロスバリデーションの手法を用いて,数カ月後の診断結果に対する予測正確度を検証したところ約82%となった。

従来,診断には数カ月にわたる経過観察が必要だったが,この技術を活用することで,2時間程度でASD併発を診断できる可能性が示された。研究グループは,今回の研究により,早期に治療・療育方針を決定でき,家族の患者に対する接し方にもアドバイスできるとしている。

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