阪大ら,AIでがん細胞の種類の判別に成功

大阪大学は,人工知能(AI)による画像判別技術でがん細胞株の顕微鏡画像認識が可能であることを明らかにした(ニュースリリース)。

これまでAI研究において,様々なアルゴリズム,プログラムが考案され,その精度を高める試みがなされてきた。画像認識の分野においては,深層学習と呼ばれるアルゴリズムを用いて学習したAIが目覚ましい成果を上げた。それ以降,AIの精度が向上してきた。今ではAIの画像認識精度が人を超えたともいわれており,人々の生活の様々な場面でAIの活用が期待されている。

医学研究においても,AIを用いた研究は活発に行われ始めており,日常診療へのAI技術の応用が期待されている。しかし,医療画像をAIに学習させることでどのようなことが可能となるのかという問題について,明確に解答した研究は未だ多くない。医療画像に対してAIがどの程度の力を発揮し,どのように応用するかを検討していくことが急務とされている。

今回研究グループはまず,マウス(NR-S1)とヒト(ME-180)のがん細胞株を用意し,それらの細胞株から放射線治療が効きにくい放射線治療抵抗性のがん細胞株を用意した。次にこれらの細胞株の位相差顕微鏡写真をそれぞれ10,000枚ずつ撮影した。

撮影した画像を用いて,畳み込みニューラルネットワーク(AIが画像分析を行なうための学習手法の1つ)を行ない,画像に写る細胞種を特定するAIの作成を行なった。学習したAIは高い精度で細胞種を予測し,その正答率は約98%にも達した。人が判別するよりも明らかに早くて正確に,AIには判断可能であるということを示したという。

研究グループは今回の研究で,人の目では判別困難な微細な差異を検出して顕微鏡画像に写っている細胞の種類を特定することが可能となったとし,この研究を発展させることにより,放射線治療などのがん治療の効果予測をAIで行う技術の開発が期待されるとしている。

キーワード:

関連記事

  • 核融合・光電融合・量子・宇宙、次世代成長市場の技術が集結 Photonics Innovation 2026開催

    次世代エネルギーとして期待される核融合、AIインフラの進化を支える光電融合、実用化に向けた開発が進む量子コンピューター、そして民間企業の参入が相次ぐ宇宙ビジネス。いずれも将来の成長市場として投資家の関心を集める分野であり…

    2026.10.28
  • 左 従来の光トランシーバー搭載スイッチ図 右 CPO技術搭載スイッチ 

    KDDIとBroadcom、CPO技術の共同検証を開始 AIデータセンターの省電力化へ

    KDDIは米Broadcomと、AIの社会実装に向けてネットワークインフラ技術に関する提携を締結し、両社は光通信部品を半導体チップの近くに配置する「CPO(Co-Packaged Optics)」技術の共同検証を開始した…

    2026.10.26
  • 「エッジAI半導体を実現する3Dヘテロ集積技術」プロジェクトの対象技術と課題

    東北大、半導体3D集積の産学連携組織「T-CHIPS」発足 光チップの異種集積も視野

    東北大学は、半導体先端パッケージングと異種チップ集積技術の研究開発を推進するコンソーシアム「T-CHIPS」が発足したと発表した(ニュースリリース)。プロセッサーやメモリ、シリコンフォトニクスチップなど、異なる機能を持つ…

    2026.10.21
  • 光ファイバセンシングを活用した漏水位置特定システム

    NTT、光ファイバセンシングとAIで水道管の漏水位置を15分で特定

    NTTは、福岡市管工事協同組合と共同で、光ファイバセンシングとAIを組み合わせた水道管の漏水位置特定技術の実証に成功した。地下に埋設された給水管から生じる微弱な振動を光ファイバで検出し、AIで解析することで、水平誤差75…

    2026.10.21
  • 東大が挑むAI×先端レーザー加工 Photonics Innovation 2026 プレイベントを開催

    オプトロニクス社は、11月10日(火)~12日(木)にパシフィコ横浜で光技術展示会「Photonics Innovation 2026/パワーレーザーPlus 2026」を開催する。そのプレイベントとして、東京大学 物性…

    2026.10.09

新着ニュース

人気記事

編集部おすすめ

  • オプトキャリア