キヤノン,3Dプリンター用セラミックス材料と作製技術を開発

キヤノンは,独自の3Dプリンター用セラミックス材料を用いて,複雑な形状のセラミックス部品を高精度に作製する技術を開発した(ニュースリリース)。

樹脂や金属などの材料を用いた3Dプリンターは,多品種少量の部品を手軽に試作・製造できるため,広く普及し始めている。しかし,これまでの3Dプリンター用セラミックス材料には樹脂を含むものが多く,造形後の焼成工程において20%程度の収縮が生じるため,高精度な部品作製が難しいとされていた。

今回,同社は3Dプリンターの造形法である選択的レーザー溶融法に適したアルミナ系セラミックス材料と部品作製技術を新たに開発した。レーザー溶融法とは,金属の造形で一般的に用いられ,材料にレーザーを照射する事で溶かして積層する3Dプリンターの造形法の一種。

今回の技術の活用により,一般に金型での成形や切削加工が難しい中空構造や多孔質構造など複雑な形状のセラミックス部品を3Dプリンターで安定的に作製できる。例えば,六角形の空孔をもつ直径約19mmのハニカム形状部品を作製した場合,焼成工程前後の外形寸法変化が0.8%未満の高精度な部品を作製することができるという。

同社は今後,セラミックスの優れた絶縁性・耐熱性・耐食性を生かし,今回の技術で作製したセラミックス部品が,産業機器をはじめとしたあらゆる分野で活用されることを期待するとしている。

その他関連ニュース

  • 阪大,金属3Dプリンティング組織の強度への寄与解明 2025年06月27日
  • 阪大,積層造形技術の研究開発拠点をリニューアル 2025年06月19日
  • Kプロで,金属積層造形システム技術の開発スタート
    Kプロで,金属積層造形システム技術の開発スタート 2025年05月27日
  • NIMS,3Dプリンターで耐熱鋼の性能を10倍向上 2025年04月21日
  • 阪大,金属3Dプリンタで金属製自己触媒反応器を開発 2025年04月16日
  • ニコン,加企業/大学と金属AMの共同研究協定締結 2025年04月07日
  • 東大ら,3Dプリンティングで材料強度の向上を実現 2025年03月25日
  • 阪大,金属3Dプリンターでハイエントロピー合金実現 2025年03月13日