今年度の「神奈川工業技術開発大賞」が決定し,ヘルツの超低周波数防振システム「G-Zero®」が大賞を獲得した。(ニュースリリース)。表彰式は11月12日,神奈川県庁本庁舎で行なわれる。
「神奈川工業技術開発大賞」は,県内に事業所を有する中堅企業・中小企業及びこれらの企業で構成するグループによって開発され,かつ開発が県内事業所で実施された技術及び製品のうち,「概ね3年以内に開発されたもの」「実際に企業(商品)化されたもの又は効果が実証されたもの」「産業の発展や国民生活の向上に役立つもの」に授与される。昭和59年の制度創設以来,県と神奈川新聞社との共催で行なっている。
今回は32件の応募の中から「大賞」2件,「ビジネス賞」2件,及び「奨励賞」3件を選考した。大賞を受賞したヘルツは,超低周波数防振システム「G-Zero®」を開発。新たな防振機構の開発により、これまでの技術・製品では達成できなかった世界最高水準の防振性能を実現したという。
近年,自動運転システムに応用する試みや,宇宙物理学での重力波の検出等,最先端研究の技術開発分野において,極微少な重力変動を検出しようとするニーズが高まっている。極微少な重力変動を検出する際,地面振動や空気振動等の外部からの振動の影響や装置からの電気ノイズの影響を無くす必要がある。
しかし,これまでの防振システムでは,空気バネ等の従来技術の範囲での改良に留まっていたため,防振性能の限界により,超低周波領域の振動の影響が無視できなかった。また,電子制御による防振システムを搭載した装置では,発生する電気ノイズが障害要因となっていた。
そこで同社は従来の機構を見直し,電気を使用しない,振り子方式と倒立振り子方式を組み合わせた水平方向と垂直方向の新たな防振機構を開発した。両機構を統合することで従来製品と比較し,防振特性を大幅に向上させた。
この製品は,コンパクトな形状にもかかわらず,これまでの技術では対応できなかった0.5Hz未満の超低周波数領域での防振にも対応し,水平・垂直方向の固有振動数(共振周波数)が0.25Hzという世界最高水準の防振性能を有するシステムだという。