東京都健康長寿医療センターは,北陸大学,東邦大学,東京医科歯科大学,リソウと共同で皮膚へのビタミンC塗布は紫外線を浴びる前が効果的であることを明らかにした(ニュースリリース)。
紫外線B波(UVB,280-320nm)は,皮膚の表皮層に吸収され,炎症や細胞死の原因となる活性酸素種を産生する。皮膚へのビタミンC塗布は,この活性酸素種を消去すると考えられていたが,詳細な機構は明らかになっていなかった。
研究グループはこれまで,皮膚でのビタミンCの役割に関して,皮膚でビタミンCが欠乏すると表皮が薄くなり,紫外線によるメラニン色素の産生が増加することを報告してきた。
今回,研究グループはヒト培養表皮を用いてビタミンCが紫外線による細胞障害に対して抑制効果があるかを詳細に調べた。紫外線を照射する前または後の3時間,ビタミンCを表皮表面に添加し,紫外線照射24時間後の細胞生存率,アポトーシス頻度,DNA損傷や酸化ストレス,炎症に関わる遺伝子発現の程度を評価した。
その結果,紫外線照射の前または後にビタミンCを表皮表面に添加すると,表皮にビタミンCが取り込まれ,紫外線照射による細胞障害が抑制された。また,その効果は紫外線照射の前にビタミンCを添加した方が後にビタミンCを添加するよりもより効果的だったという。
研究グループは今回の研究により,皮膚でのビタミンCの機能解明に大きく貢献できるとしている。