浜松ホトニクスは,放熱性に優れたセラミックパッケージを採用することで,車載用途に求められる高い信頼性を持ち,105℃までの高温環境下でも安定した光出力を発振する「4チャンネルパルスレーザダイオード」を開発した(ニュースリリース)。
自動運転車の実現は,交通事故の削減や物流の効率化など,さまざまな社会問題の解決につながると見込まれており,新たな社会インフラとしての普及が期待されている。自動運転の実現には,周囲の人や車,障害物までの距離や形状などを正確に把握することが重要で,自動車の目に当たるカメラやレーダー,LiDARなどの実用化が進められている。
近年は,車載LiDAR用途として遠距離,広範囲にある物体を正確に計測することが求められていることから,より高出力で,高速応答の可能なパルスレーザダイオード(PLD)への要求が高まると見込まれている。しかし,コスト,サイズの点からCANタイプでの実用化は困難だった。
この製品は,中空型のセラミックパッケージを採用することで,CANタイプと同等の高い信頼性を実現し,高温環境下でも安定したレーザ出力を有するとともに,パッケージに4チャンネルのPLDチップを搭載し,現行のCANタイプと比べ出力を4倍に高めた。
また,PLDチップをパッケージ内に直接実装(表面実装)し,パッケージの電極配線パターンを最適化することでレーザー光パルス幅を20%短縮し,高速応答性を高めた。
さらに,PLDチップを高密度に実装することで小型化し,CANタイプと比べ体積を約5分の1とした。この結果,車載LiDARモジュールに組み込みやすくなり,近い将来,本格的な量産が見込まれる自動運転車での需要が期待できるという。
主な仕様は,ピーク発振波長 905nm,発光チャンネル数 4ch(個別駆動可能),ピーク光出力(1ch)100W,動作温度範囲 -40℃~+105℃,外形寸法(W×D×H) 5.5mm×3.8mm×1.7mm。同社はこの製品を来年からサンプル出荷するとしている。