大阪大学,ヤマザキマザック,島津製作所は,高輝度青色半導体レーザーを活用した金属積層技術と,切削技術を融合したハイブリッド複合加工機を世界で初めて開発した(ニュースリリース)。
青色半導体レーザーは,金属に対する吸収効率が高く,従来の近赤外線レーザーでは困難だった金や銅などの加工に適しているため,金属向け次世代加工機の光源への応用が期待されている。特に,銅素材の加工については,銅が高い放熱性を持つことから,航空・宇宙・電気自動車などの多くの産業から実現が期待されている。
しかし,これまで青色半導体レーザーは,高輝度化などが課題で,複合加工機への搭載は元より,レーザー加工機への搭載も進んでいなかった。
そこで,研究グループは,日亜化学工業と村谷機械製作所の技術協力を受け,世界で初めて,高輝度青色半導体レーザーを搭載したハイブリッド複合加工機を開発した。このハイブリッド複合加工機は,島津製作所が2018年1月に製品化した出力100Wの高輝度青色半導体レーザー光源を組み込んだマルチビーム加工ヘッドを搭載している。
3台の高輝度青色半導体レーザー光源それぞれから出力されるビームをマルチビーム加工ヘッド技術で重畳することによって,集光位置での出力300Wを実現した。これは,純銅粉末を溶融させるのに十分なパワー密度であり,高効率で高品質な純銅の溶接・積層が可能とする。
また,このハイブリッド複合加工機は,切削5軸加工とレーザー加工を合わせて行なうことが可能。純銅と他の金属材料の異種材料接合も容易であり,切削加工との工程集約が可能となることから,純銅表面をコーティングして放熱性を向上させた高放熱部材など,航空・宇宙・電気自動車に必要なエンジン周辺などの部品加工への応用が期待できるという。
今後,ヤマザキマザックは,この複合加工機の生産ライン整備などを経て,2019年の製品化を目指すとしている。