TDKは,高耐熱・高輝度(高変換効率)を両立しながら,高い形状制御性を両立した高輝度白色光源向け単結晶蛍光体「スマートクリスタルTM」を開発しており,サンプルを用いたデモをCEATEC会場内にて行なっている。
これは青色光を白色光に変換するCe:YAGの単結晶で,会場では450nmのレーザーを使って白色光を取り出す様子を見ることができる。耐久性が高いことから,大きなエネルギーが入力される自動車のレーザーヘッドランプや,レーザープロジェクターへの応用が期待されるという。
この蛍光体は,東北大学が開発した重力方向に単結晶を育成するμ-PD法によって製造されている。これは,るつぼの底に型を取り付け,重力方向に単結晶を育成する方法で,高度な形状制御が可能なのが特長。
一般的な大口径のシリコン単結晶などは,液相から結晶を回転させながら引き上げて所定の直径のインゴットを得るCz法が主流で,従来の蛍光体もこの方法で製造されている。そのため,所望の形状にするためには切削加工などが必要となり,高コストとなる要因になっていた。
μ-PD法の大きな特長は,断面が丸や四角といった形状だけでなく,丸チューブや角チューブなどの中空形状,コの字型や星型などの特殊な断面形状,さらにはファイバ化などにも対応できる点にある。
会場では実際に様々な形状の蛍光体を用意しており,高度な形状制御を確かめることができる。例えば四角柱状のロッドでは,その断面を形状を300µm□~10mm□まで制御できるとしている。
同社では上記の応用の他,HUDやHMDなどの小型ディスプレーや,測定・検査,研究開発など,様々な形状やサイズの蛍光体が必要となるアプリケーションに向けて開発を進め「2020年くらいには実用化したい」(担当者)として,現在,サンプル提供を開始している。