亞洲光學は1980年に設立した,日本企業とも関係が深い老舗のレンズメーカー。同社はニコンやキヤノンをはじめとするカメラメーカーにレンズを供給してきたが,これまで大きかったデジカメ向け製品の売上が大きく減少したことから,新たなビジネスを探っている。
例えばAR/VR向けのレンズモジュールや,米の自動車メーカー向けにADAS用カメラのレンズユニットを供給している。月に20~30万ユニットを出荷しているといい,現在ではヨーロッパの自動車メーカーをはじめ,米グーグル傘下のウェイモといった自動運転開発企業にも今後ステレオカメラを供給する予定だという。自動運転向けてにはカメラだけではなく,LiDARも開発する予定があるとしている。近い技術として,中国製の掃除ロボットに同社の距離センサーが採用されている。
医療機器にも進出しており,台湾政府と共同で開発を行なった血液型判定機は,従来人間が目視で行なってきた血液型判定を自動で行なえるというもの。血液型はヒトの血清中に存在する抗体と赤血球の反応によって決定するが,この反応をAIと画像認識により自動的に行なうことができるという。他にも自動血圧計の製造も始めている。さらに,少々畑違いにも思えるが,オーディオ分野にも進出し,ヘッドフォンブランドを立ち上げている。
同社は現在でも日本のカメラメーカーに一眼レフカメラの交換レンズや狩猟用ライフルスコープ,デジカメ用カメラ機構部品などの製品を入れている。同社は38年という長い取引の中で,日本に多くの顧客を持つほか,長野県岡谷市に研究センターがあり,上記のヘッドフォンの開発も行なっている。同社は高い技術力を背景に,今後も日本企業との関係を深めていきたいとしている。