富士キメラ総研は,中国メーカーを中心に再び価格競争が激しさを増しているLEDパッケージ・関連部材、注目アプリケーションの世界市場を調査し,その結果を「2018 LED/LD関連市場総調査」にまとめた(ニュースリリース)。
この調査ではLEDパッケージ・関連部材,バックライトや照明,自動車用ヘッドライトなどのアプリケーション,計43品目を調査し,参入メーカーの動向とともに分析し,将来を予測した。その結果,2025年市場予測(2017年比)は,LEDパッケージが2兆774億円(8.7%増),LEDディスプレーは,2,100,000m2(2.7倍)と予測した。その中で,LEDパッケージを白色,青色,赤外,紫外に分けて調査しており,結果はそれぞれ以下の通りとなっている。
■白色LEDパッケージ
主な用途は,LED照明,バックライトユニット,自動車用ランプなど。数量ベースでは最も市場構成比が高いLED照明向けが好調に伸びており市場拡大をけん引しているという。一方,LED照明向けの次に比率が高いバックライトユニット向けはOLED製品の台頭によりモバイル用を中心に縮小しているとした。
金額ベースではLED照明向けとバックライトユニット向けの単価が下落しており,特に,照明向けは中国メーカーを主体とした価格競争が続いており,製品によっては年率20~30%下落していることから,横ばいから微増とした。今後,市場は数量ベースで拡大が続くが,金額ベースでは単価下落の影響を引き続き受けるとみており,横ばいから微減になると予想する。
■有色LEDパッケージ
主な用途は,装飾・イルミネーション,指示灯,インジケーター,スイッチ,LEDディスプレー,自動車のリアランプやメーターなど向け。従来用途である装飾・イルミネーション向けや指示灯向けはすでに飽和しつつあるため,今後は緩やかに伸びていくとみる。
一方,LEDディスプレー向けは製品の需要が好調なことに加え,1台当たりの搭載個数が多いため伸びているという。今後は,高解像度ニーズの高まりによる狭ピッチ化の進展によってさらなる搭載個数の増加を予想する。また,小型化に向けた企業間の技術開発競争による伸びが予想されることから,有色LEDパッケージ市場をけん引していくとみる。
■赤外光LEDパッケージ
主な用途は,フォトインタラプタやIrDA・リモコン,監視カメラ,顔認証や虹彩認証といった生体認証など向け。フォトインタラプタ向けやIrDA・リモコン向けで半数を占めており,今後も安定した需要を予想する。監視カメラ向けは,世界的なセキュリティに対する意識の向上などによって需要が増加している。顔認証や虹彩認証といった生体認証向けはビルや病院などのセキュリティ用途で需要を獲得し伸びているという。
■紫外光LEDパッケージ
主な用途は,樹脂硬化,分光・分析,殺菌・滅菌,その他医療・美容分野やプリント基板直描装置,3Dプリンターなど向け。市場はUV‐Aタイプ中心で形成してきたが,2017年からUV‐Cタイプが殺菌・滅菌向けで冷蔵庫などの家電に採用され拡大している。今後もUV‐Cタイプは消費者向け製品で採用が増加するとみており,市場拡大を予想する。
その他,LEDディスプレーは,LEDを表示面に使用した映像表示器を対象とした。市場は競馬場やスタジアムなどのリプレース需要を獲得し好調だという。また,LEDの小型化による挟ピッチ化が進み一定の限られたサイズでも高解像度化が可能となったことから,従来はLCDマルチモニターやプロジェクターの導入先となっていた会議室や企業のショールームなど,屋内での採用が増加している。今後は挟ピッチ化のさらなる進展や小型化に向けた企業間の技術開発競争が進むなど,市場は活性化するとみており拡大を予想する。
また,白色LEDパッケージに採用される蛍光体は,高発光効率・低価格が要求される製品には黄色の蛍光体が単体で採用されており,演色性や広い色域が要求される場合には主に赤色と緑色の組み合わせが採用されている。市場は照明市場の拡大,ディスプレーの広色域化,照明の高演色化ニーズの高まりを受けて拡大しており,今後も拡大は続くとみる。用途別では照明向けの割合が最も高く,伸びているという。TV用・モバイル用バックライトユニット向けは,広色域化ニーズの高まりを受けて伸びているとした。