産業技術総合研究所(産総研)は,筑波大学,気象庁 気象研究所と共同で,日射量予測が大幅に外れる事態を検出する「大外し検出指標」を考案した(ニュースリリース)。
太陽光発電では日射量予測情報などを利用して発電電力量を予測し,予想される需要に合わせて,水力や火力発電機などの起動停止を計画する(ユニットコミットメント:UC)。しかし,日射量予測情報が大きく外れた場合,この調整用電源に余剰または不足が発生し、需給のバランスがくずれて停電が起こる可能性がある。そのため,日射量予測の高精度化が喫緊の課題となっている。
今回考案した検出指標は,世界の4つの気象予報機関(日・欧・英・米)が提供する地球全体を予測する全球アンサンブル予測情報を併用して評価した指標で,例えば年数回から十数回しか発生しないような,予測が極端に大きく外れる事態を事前に予測する指標。この指標は,今後さらに加速していく太陽光発電システムの大量導入時代の電力の安定供給や,効率的な運用への貢献が期待されるもの。
研究グループは今後,大外し検出指標を用いた電力需給運用のシミュレーションを行なう。これにより,大外しを事前に予測できた場合に,どの程度需給バランスが改善でき,また,予測の信頼性が高い場合の調整用電源の節約などによる経済的な運用が可能となるかなどの評価を行ない,今回考案した指標の実用化を目指すとしている。