住友化学ら,PMMAベースの軽量丈夫な透明樹脂を開発

住友化学は,東京大学,大阪大学,九州大学,名古屋大学,理化学研究所らと,ガラスや金属の代替となる高剛性・高タフネス透明樹脂を開発した(ニュースリリース)。

近年,自動車の軽量化による省エネルギー化を目指して,金属やガラス製部材から樹脂への置き換え研究が進められている。しかし,従来の透明樹脂は,金属やガラスと比べるとたわみやすく,部材の設計強度を維持するために部材自体を厚くすると,軽量化効果が大幅に低下し,意匠性も損なわれるといった課題があった。

PMMAは,プラスチック材料の中で最高レベルの透明性,高い耐久性と傷がつきにくい硬さを兼ね備えた樹脂。今回,PMMAを技術の出発点として,たわみが小さく,かつ割れにくい革新的な高剛性・高タフネス透明樹脂の開発に着手した。

一般的に樹脂材料の破壊挙動として,樹脂材料を引っ張った際に,ほとんど伸びることなく途中で突然割れてしまう脆性破壊,および樹脂が伸びきってから切れてしまう延性破壊が知られていり。脆性破壊を示す代表的な透明樹脂としてPMMA,延性破壊を示す代表的な透明樹脂としてはポリカーボネートが知られている。

研究においては,ガラス状ポリマーの脆性-延性転移挙動に着目し,破壊挙動の分子レベルでの本質理解を深めるとともに,PMMAの高剛性・高タフネス化技術の確立に取り組んだ。

その結果,曲げ弾性率については延性破壊を示す従来の透明材料に対して約1.6倍,シャルピー衝撃強度については脆性破壊を示す従来の透明樹脂に対して10倍以上の革新的な高剛性・高タフネス透明樹脂の開発に成功した。この樹脂を自動車のルーフ部材に適用した場合,合わせガラス重量の6割超,鋼板重量の4割の軽量化が期待できるという。また,自動車用安全ガラス試験(JIS R3212)に準拠する前面窓用合わせガラスの耐衝撃性試験をクリアした。

今後,自動車用部材などの大型成形品の作製に向けスケールアップ検討を進めるとともに,この樹脂の特長を生かした幅広い分野への応用・展開を進めるとしている。

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