東北大学は東京大学と共同で,高温超伝導体結晶中の部分構造で絶縁体として知られるランタン酸化物が超伝導体となることを発見した(ニュースリリース)。
銅酸化物や鉄系化合物に見られる高温超伝導体は,いずれも電気を流さない絶縁ブロック層と超伝導を発現する電気伝導層が積み重なった層状構造を持つ。この高温超伝導の発現メカニズムは,30年以上も未解明のままだった。
研究グループは,パルスレーザー堆積法により,超高真空中でランタン酸化物を合成した。得られた化合物は,よく知られた絶縁体のランタン二三酸化物La2O3ではなく,銅酸化物高温超伝導体の結晶に含まれる絶縁ブロック層と同じ岩塩構造をもつランタン単酸化物(LaO)であることが分かった。
La2O3は絶縁体だが,その組成から酸素原子を一つ減らしたLaOは良好な電気伝導性を示し,約5K以下でゼロ抵抗となる超伝導体になる。
今回の成果は,銅酸化物高温超伝導体中で絶縁ブロック層であったLaO層の役割について再考を迫るもの。また,超伝導体のLaOと他の機能性酸化物をレゴブロックのように重ね合わせることで,新たな現象や別の新超伝導体の発見につながる可能性があるとしている。