三井化学は,新規開発品である透明ポリイミド用液状材料「エクリオス®」 が,理化学研究所,東レ,科学技術振興機構等のメンバーで構成される国際共同研究グループが新たに開発した,高い耐熱性とエネルギー変換効率を兼ね備えた世界初の超薄型有機太陽電池に採用されたと発表した(ニュースリリース)。
この製品は,耐熱性,耐薬品性,強靭性,寸法安定性に優れた無色・透明なポリイミド用液状材料(ポリアミド酸ワニス)。ガラス代替の耐熱基材,フレキシブル回路基板,バインダーなど,次世代エレクトロニクス関連製品への展開が期待されるとする。
近年,IoT化の進展に伴い,ウェアラブルセンサー及び電子デバイスのニーズが顕在化している。これまでもウェアラブル対応の電源の一つとして,薄型の有機太陽電池の開発が進んでいたが,十分なエネルギー変換効率と耐熱性が両立できず,高温下での駆動や熱を伴う加工に難点があった。
この製品は理研らが開発した太陽電池の基板層に採用されており,表面平坦性と熱安定性を向上させることで,太陽電池の超薄型化(デバイスの厚み3μm)と耐熱性(100°C)の実現に貢献している。
また,この太陽電池の大きな特長である,性能劣化なく布地へ接着が可能で,透明性と柔軟性が保持され,接着面の意匠性が維持される点は,この製品の優れた機械強度,従来のガラス基材では成し得なかったフレキシブル性が生かされたものだとしている。
これらの点から,新製品はウェアラブルデバイス,災害時の非常用電源などのに応用できるとして,同社は今回の採用を機に,次世代エレクトロニクス関連製品のほか,様々な用途への展開を図っていく。