島津製作所は,稼働しているエンジンのシリンダー内温度や二酸化炭素(CO2)濃度,水分濃度を同時に自動計測するエンジン筒内高速モニター「DIOMELAS」を5月21日に発売する(ニュースリリース)。価格は4,500万円(税別)。
この製品は,昨年開発した独自の計測技術を実用化したもの。小型プローブ(探針)先端の検出部をエンジンのシリンダーに10mm挿入し,検出部に照射したレーザー光の吸光度を測定することで,稼働しているエンジンのシリンダ内ーの温度とCO2濃度,水分濃度をそれぞれ最短2万分の1秒周期で計測できる。
加速時や減速時などのように,燃費性能および排ガス性能に大きく影響を与える過渡的な運転状態において,シリンダー内の燃焼状態の経時的変化を捉えることができる。
センサープローブ先端には酸化に強い材質を用い,長期間にわたる計測が可能。煤などの汚染に対しても付属のツールにより簡単にクリーニングでき,レーザーを使用した計測装置にありがちな光軸の再調整作業といった煩雑な作業は必要ないという。
また,エンジン試験に用いるエンジンベンチシステムと連動した自動計測を可能としており,稼働するエンジン内の温度やCO2濃度,水分濃度を測定可能,かつエンジンベンチシステムとの連動による自動計測の実現は世界で初めてだという。
この製品により,自動車や産業用エンジンのモデルベース開発(シミュレーションに基づく設計手法)において,設計精度の向上や開発工数の削減,燃費性能および排ガス性能の改善に寄与することが期待される。