東北大ら,環境に優しく3次元ナノポーラス合金を創製

東北大学と産業技術総合研究所は共同で,気相脱合金法を用いたナノポーラス合金の新しい作製手法を開発した(ニュースリリース)。

大きい比表面積,高い導電率,および高い熱伝導率を示す三次元のネットワーク状のナノポーラス構造を有するナノポーラス合金は,触媒,エネルギー貯蔵,およびエネルギー変換などに幅広く使用され,表面増強ラマン散乱分光法にも利用されている。

開発した方法は合金は真空環境下で加熱した際,合金中の各元素の蒸気圧が異なることを利用した。蒸気圧がより高い元素が合金から容易に蒸発し,蒸気圧がより低い元素が原子拡散によってナノポーラス構造を形成する。この方法は従来の電気化学的脱合金法と比較して,化学エッチングを使わずにナノポーラス合金を作製でき,蒸発した元素を完全に回収することができる。

このようにこの手法は無害なため,環境に優しく,ナノポーラス合金の幅広い展開が期待される。亜鉛-コバルトの場合には温度,時間,圧力を制御することにより,ナノポーラス合金の細孔サイズをナノ~マイクロメートルの幅広い範囲で制御できた。また,真空度が細孔の形成に対して大きな影響を及ぼすこともわかった。

さらに蒸発した元素が容易にリサイクルできるので,効率的かつ環境に優しいナノポーラス合金の作製および設計のための新しい手法として普遍的な方法と成り得るとしている。

その他関連ニュース

  • 名大ら,ナノ多孔体に貴金属原子を均一に孤立分散
    名大ら,ナノ多孔体に貴金属原子を均一に孤立分散 2024年06月25日
  • 東大ら,金属3Dプリント中の画像で多孔質構造を予測 2024年06月03日
  • 東工大,共有結合性有機構造体を温和に合成・薄膜化 2023年07月24日
  • 北大,温度・圧力・電圧の制御が可能な合成法を開発 2023年03月24日
  • 産総研,グラファイト層間化合物を簡便・高速合成 2023年02月01日
  • 公大ら,多孔質に分子が詰まっていく様子を観察 2022年05月16日
  • 府大ら,水面で光透過性の高い導電性シートを作製 2021年10月28日
  • 京大ら,孔径を制御した多孔性カーボンを開発 2021年05月24日