国立情報学研究所(NII)は,NIIが開発したファイル転送プロトコル「MMCFTP」(Massively Multi-Connection File Transfer Protocol)を用いた日本−米国間のデータ転送実験を行ない,転送速度約231Gb/sで10TBのデータを安定的に転送することに成功した(ニュースリリース)。
実験は日米間に100Gb/s 3回線(合計300Gb/s)の実験回線を特別に確保し,11月12日~17日に米デンバーで開催された国際会議「SC17」の会場から日本に向けてデータを転送する形で,「メモリーtoメモリー(M2M)」と呼ばれる条件で行なった。
10TBを転送した時の実質転送速度(グッドプット)は,7回の試行で224.9Gb/s(転送時間5分55秒)~231.3Gb/s(転送時間5分45秒)だった。10TBは一般的な25GBのブルーレイディスクで400枚分,地上波デジタル放送の動画に換算すると約1200時間分に当たる。今回の実験では,この大容量データを米国から日本に6分未満で転送したことになる。
昨年11月の転送実験は情報通信研究機構(NICT)と共同で行ない,米ソルトレイク・シティから日本に向けてデータを転送する形で実施した。100Gb/s 2回線(合計200Gb/s)の実験回線を使用し,「メモリーtoメモリー」条件で10TBを転送した時の実質転送速度(グッドプット)は148.7Gb/s(転送時間8分58秒)だった。
一つのTCPコネクションを用いる転送方式では回線数を増やしても1回線分の帯域しか使えないのに対し,多くのTCPコネクションを用いるMMCFTPは回線数分の帯域を使用できるという特徴を生かし,今回の実験では昨年11月の記録を上回る転送速度を達成した。今回の記録は大陸間クラスの長距離データ転送として「世界最速」(1サーバー対1サーバーのデータ転送速度)と考えられるという。