富士キメラ総研は,OLED関連部品材料の大幅な伸びが期待されるディスプレー関連部品材料の世界市場を調査し,報告書「2017 ディスプレイ関連市場の現状と将来展望(下巻)」にまとめた(ニュースリリース)。
この報告書では,OLED関連部材9品目,LCD関連部材19品目,LCD・OLED関連共通部材8品目,タッチパネル関連部材8品目の市場の現状を分析し,将来を予測した。また,注目されるフレキシブルAMOLED関連部材・プロセスの動向,薄型ディスプレーの進化に向けた部材開発の動向。関連部材メーカーのディスプレー分野以外への多角化動向などを整理した。
それによると,スマートフォンでAMOLEDの採用が増加するに伴い,OLED関連部材が大きく伸びると予想する。一方,LCD関連部材やタッチパネル関連部材は成熟期を迎えており,「広色域」「薄型化」「自動車関連,産業用向けの高付加価値化」に対応した開発が進められているのに加え,新たな需要の獲得を目指した多角化への取り組みも活発化しているという。
具体的には,OLED関連部材の2016年の市場は,円偏光板(OLED用)や円偏光板保護フィルム(OLED用)の伸びがけん引し,前年比13.3%増となった。2017年は「iPhone X」へのフレキシブルOLEDの採用や,LG DisplayのTV向けパネル増産などにより各品目が伸びているとして,前年比49.4%増の1,621億円を見込む。
2018年以降,スマートフォン市場ではSamsung Displayの増産や後発の中国ディスプレーメーカーの立ち上がりにより,OLED採用が進むとみる。2022年にはスマートフォン向けパネルの約50%がOLEDになり,また,OLED-TVの出荷台数は1,000万台を超えるとみており,OLED関連部材の市場は2016年比3.5倍の3,832億円を予測する。
2016年時点では最も規模が大きい低分子発光材料は,材料使用効率の改善や単価下落により,2016年から2022年の年平均成長率は13.4%にとどまるとみる。2022年には,大型TV向でのOLEDの採用増加に伴い円偏光板(OLED用)の規模が最も大きくなると予想する。
LCD関連部材の2016年の市場は,前年比7.8%減となり4兆円を割り込んだ。特にTV用バックライトユニットは,一部のハイエンド機種を除いて比較的高価格なエッジ型から低価格な直下型へのシフトが進み前年比22.1%減となった。また,規模の大きい偏光板(LCD用)は数量ベースでは伸びているものの,単価の下落により金額ベースでは縮小しているという。
単価の下落により多くの品目が2018年以降もマイナス成長になるとみるが,ディスプレーパネルの大型化により緩やかな縮小を予想する。量子ドットシートは,Samsung El.がOLED-TVへの対抗製品として「QLED」ブランドを展開しており,同社や中国メーカーでの採用が進むとして,2018年以降の大幅な伸びが期待されるという。
また,偏光板(LCD用)が偏光サングラスや3Dメガネ向けに小規模ながら使われているように,LCD関連部材をディスプレー以外でも使用する用途多角化への取り組みも進んでいるとする。
LCD・OLED共通関連部材の2016年の市場は前年比14.6%減となった。全体の60%以上を占めるカラーフィルターが数量ベースでは増加したものの,金額ベースでは為替変動や単価下落の影響により前年比20%近い落ち込みとなったことが要因の一つだとする。
2017年の市場は前年比2.8%の拡大を見込むが,2018年以降は単価の下落などにより縮小し,2022年は2016年比1.6%減の2兆4,694億円を予測する。多くの品目が縮小するが,フォトレジストやハードコート剤はTV向けパネルのサイズアップを受けて小幅ながら伸びを予想する。また,ブラックレジスト・ブラックカラムスペーサー(BSC)は,韓国ディスプレーメーカーを中心に単価の高いBSCの採用が進むことから,2016年から2022年の年平均成長率は2.1%を期待する。