NTTコミュニケーションズ(NTT Com)は,ソフトバンク,Facebook,Amazon,PLDT,PCCW Globalの6社からなるコンソーシアムの設立,およびアジア・米国間の新しい大容量光海底ケーブル「JUPITER」を建設することに合意したと発表した(ニュースリリース)。
「JUPITER」は,日本・アメリカ・フィリピン間を結ぶ総延長約14,000kmとなる大容量の光海底ケーブル。日本では「志摩陸揚局(三重県)」と「丸山陸揚局(千葉県)」,フィリピンでは「ダエット陸揚局」,米国ではカリフォルニア州ロサンゼルスに陸揚げする。
「JUPITER」と,NTT Comが保有する既存の国際海底ケーブル(ASE,APG,PC-1など)を組み合わせることで,アジア主要都市とアメリカを結ぶ3ルートの冗長構成が可能となる。
「JUPITER」は最先端のファイバーや設計技術の導入により,日米間の海底ケーブルとしては世界最速となる400Gb/sの光波長多重伝送方式に対応(総設計容量:60Tbps(初期設計))。これは,1秒間に約6時間分のハイビジョン映像(映画の場合約3本)を転送できる速さ。
さらに,最新の波長選択機能(WSS ROADM:Wavelength Selective Switching Reconfigurable Optical Add Drop Multiplexing)を搭載したケーブル分岐装置(BU:Branching Unit)を利用しているため,海底に敷設したケーブルの伝送ルート・伝送容量などを,遠隔から迅速・柔軟に変更できる。これにより,予期せぬケーブル不具合が生じた場合でも遠隔操作により伝送ルートを変更できる。
NTT Comは,「丸山陸揚局」に陸揚げした「JUPITER」のNTT Comの終端場所として,強固なセキュリティ対策を施した「南房総陸揚局(千葉県)」を新たに建設する。「南房総陸揚局」と「志摩陸揚局」では,顧客が用途に応じた最適な海底ケーブルを選択できるように,他の陸揚局と接続する環境を用意する。
また,「南房総陸揚局」と都内のデータセンター,「志摩陸揚局」と大阪府内のデータセンターを低損失ファイバーで接続することで,日本国内のデータ伝送の大容量化も実現する。さらに,「南房総陸揚局」,「志摩陸揚局」,米国ロサンゼルスの陸揚局をNTT Comが一元的に保守・運用することで,今後さらなる日米間におけるサービス品質の向上を目指す。