NIMSら,CNTとLEDでガスセンサーを開発

物質材料研究機構(NIMS)は産業技術総合研究所(AIST)と共同で,シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒドを継続的にモニタリングできる小型センサーを開発した(ニュースリリース)。

建材の防腐剤などに用いられるホルムアルデヒドは,健康被害(シックハウス症候群)を引き起こすことが問題となっており,また発がん性も疑われている。そのため,世界保健機関では,室内のホルムアルデヒド濃度を0.08ppm以下に維持管理するよう推奨している。

しかし,ホルムアルデヒドを検知するには,高価で大型な装置が必要であったり,小型の装置では測定毎に検出タグの交換が必要であったり,継続的にモニタリングするには課題があった。

研究グループは,ナノ材料の一つであるカーボンナノチューブ(CNT)を使って,ホルムアルデヒドを繰り返し検知できるセンサー材料を開発した。半導体の性質をもったCNTは酸性ガスに応答して導電性が上昇する。

ホルムアルデヒド自体は中性だが,ホルムアルデヒドと反応するとごく微量の酸性ガスを発生する物質を組み合わせることで,カーボンナノチューブの導電性が変化してホルムアルデヒドを検出することができる。

導電性の変化を抵抗計で測定した場合,ホルムアルデヒドの検出限界は,0.016ppmと極めて高感度で,しかも清浄な空気によって酸性ガスを除くことでセンサーは繰り返し使用することができた。

このセンサー材料と,2つのLEDを組み合わせて,ホルムアルデヒドの発生を常時監視する小型装置を試作した。片方のLEDのみセンサー材料につながっており,センサーがホルムアルデヒドに曝されると導電性が上がるため,片方のLEDのみ輝度が増加する。2つのLEDの輝度を比べることで,0.9ppmのホルムアルデヒド濃度を検知することができた。

従来は,測定ごとに検知タグの交換が必要だったが,ホルムアルデヒドに曝されると導電性が変化し,清浄な空気で導電性が元に戻るセンサー材料を開発することで継続的なモニタリングが実現した。スマートフォンなどと組み合わせることで,ホルムアルデヒドガスの発生を常時検知するシステムの実現が期待される。また,化学反応を適切に選択することで,ホルムアルデヒド以外の有害物質も常時モニターできるセンサー材料を開発できるとしている。

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