沖電気工業(OKI)は,製造ラインや橋梁などの社会インフラ設備における多地点での温度・歪みのリアルタイム分布測定を可能とした「光ファイバーセンサー」評価キットを10月20日より提供開始する(ニュースリリース)。
昨今,センシング技術の発達でIoT市場が急速に拡大するなか,製造ラインや工場内の温度監視,橋梁や道路などの社会インフラ監視において,長距離・広範囲で温度・歪みをリアルタイムに計測することで,製品品質の向上や,安全・安心な社会の実現への貢献に対する期待が高まっている。
そのため,光ファイバーセンシング技術が注目されていたが,従来の技術では,多数のデータ演算処理を実行して計測結果を得るために時間がかかり,リアルタイムに状況変化をとらえるための利用に適さないという課題があった。
同社はこれらの課題に着目し,独自の新技術「SDH-BOTDR方式」(自己遅延ヘテロダインBOTDR)の光ファイバーセンシング技術を開発した。この方式は既存のBOTDR(ブリルアン光時間領域反射測定法)に対し,独自の新技術により,周波数の変化を位相シフトで捉えることで大幅に計測時間を短縮し,リアルタイム分布測定を可能にした。
開発した評価キットは,最大10kmでの長距離・広範囲において1m間隔での分布測定が可能。光ファイバーにより温度と歪みを1秒未満でリアルタイムに測定し,素早く変化点の特定ができる(BODTR方式に比べ最大1000倍の高速計測可能)。また,短期間の導入で1週間~1ヵ月におよぶ屋内外の実験検証に適用可能だとしている。