コロンビア大,光により遺伝子発現量を300倍に増加

内閣府 総合科学技術・イノベーション会議が主導する革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)の一環として,コロンビア大学の研究グループは,哺乳動物に応用可能な高性能の青色光誘導型の遺伝子発現コントロールシステムを開発した(ニュースリリース)。

近年,化合物や光を使って遺伝子発現量を人為的にコントロールする技術に関心が持たれている。特に,光でのコントロールは,狙った組織や器官,細胞を対象に,任意のタイミングで遺伝子発現を誘導することが極めて簡単にできるようになるため,幅広く基礎研究や医学研究に応用できると期待されている。

しかしながら,光を利用した従来の技術はいずれも遺伝子発現効率が著しく低く,弱い光で遺伝子発現量を大きくコントロールできる高性能な技術の開発が強く求められている。研究グループは,哺乳細胞内の酵素の局在や遺伝子発現のコントロールに成功しているが,遺伝子発現量が最大10倍程度であったため,さらなる改良が必要となっていた。

研究グループでは,哺乳細胞における光誘導型の遺伝子発現技術のさらなる改良のため,光受容体FKF1の様々な突然変異タンパク質を発現させることのできるライブラリーを作成した。そこからスクリーニングし,FKF1の変異タンパク質を発見した。その一方で,光受容体FKF1,その結合パートナーの組み合わせを可能な限り検証し,最適な組み合わせを発見した。

その結果,青色光で遺伝子発現を300倍上昇させることに成功した。そして,標的の細胞のみ光を照射することで標的細胞のみで目的の遺伝子が発現することを実証した。さらには,開発した光誘導型遺伝子発現システムをマウスの生体深部における遺伝子の光制御にも応用した。

具体的には,生体外からの非侵襲的な光照射方法を用いて,マウスの生体深部の臓器(論文では肝臓)において,遺伝子発現を誘導できることを明らかにした。この結果により,この新技術を用いることでマウス個体内の組織・器官における遺伝子発現を生体外からの光照射でコントロールできることを示した。

この研究により,従来では不可能であった生体(マウスなどの動物個体)の遺伝子発現を,生体外からの非侵襲的な光照射によってコントロールすることができるようになった。この成果は,神経科学や幹細胞の増殖・分化や,疾患に関わる様々な遺伝子の機能解明にも役立つことが期待できるものだとしている。

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