理研,「京」でペロブスカイト太陽電池材料を発見

理化学研究所(理研)は,スーパーコンピュータ「京」を利用し,高効率な材料スクリーニングに基づいた探索により,「ペロブスカイト太陽電池」の新たな材料候補を発見した(ニュースリリース)。

近年,次世代太陽電池の有望な材料として,ペロブスカイト結晶構造を持つ有機と無機のハイブリッド材料(ハイブリッド型ハライドペロブスカイト)が注目を集めている。その代表的なものに,メチルアンモニウム鉛ヨウ素やホルムアミジン鉛ヨウ素といった鉛化ハロゲン化合物がある。

鉛化ペロブスカイトは低コストで容易に合成できるが,鉛による毒性の問題があるため,非毒性元素を用いたペロブスカイト材料の開発が求められていた。

今回,研究グループは「二重ペロブスカイト」と呼ばれる「A2BB’X6型」の化合物を対象として,A,B-B’,Xのそれぞれのサイトに各3種類,49種類,3種類の元素を当てはめることで,合計11,025個という膨大な数の組み合わせの化合物を選び出した。

そして「京」を用いることで,これらの化合物に対して第一原理計算を実施し,元素戦略的な材料スクリーニングに基づいたマテリアルズ・インフォマティクス手法により,ペロブスカイト太陽電池としてふさわしい適切な材料を効率よく探索した。

その結果,51個の低毒性元素だけからなる非鉛化材料の候補化合物を初めて発見した。また,51個の候補化合物をB–B’の組合せに着目して周期表の族の組合せで分けたところ,規則性があることが分かった。具体的には,①第14族-第14族,②第13族-第15族,③第11族-第11族,④第9族-第13族,⑤第11族-第13族,⑥第11族-第15族の6タイプに分類できた。

今後,この研究で構築した材料ライブラリをさらに拡充することで,より高効率な非鉛化ペロブスカイト太陽電池材料のシミュレーション設計につながるとしている。

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