筑波大ら,新規シート状物質の生成に成功

著者: sugi

筑波大学,東北大学,物質・材料研究機構,東京工業大学らの共同研究グループは,二ホウ化マグネシウムと呼ばれる物質を原料に用いた,これまでにない新しいシート状物質(ホウ化水素シート)の生成に成功した(ニュースリリース)。

ホウ化水素シートはボロファンという通称名で既に理論的にその存在が予想されており,新しい水素吸蔵材料や電子材料としての優れた特性が期待されていた。この研究は,この物質の生成を初めて実現したもの。

研究では,二ホウ化マグネシウムに含まれるマグネシウムの正イオンを水素(H)の正イオン(プロトン)と交換することにより,これまでに無い,水素とホウ素のみで構成される新しい二次元物質が,室温・大気圧下という温和な条件で生成することを見出した。

この物質は負に帯電したホウ素(B)の二次元シート骨格とプロトンとにより構成され,H:B=1:1の組成比であることがわかり,「ホウ化水素シート」と名付けた。

ホウ化水素シートはプロトンを保持しており,200℃ から1200℃の幅広い温度範囲で水素分子を放出するため,理論予測されていた電子材料や水素吸蔵材料以外にも,固体燃料や固体酸触媒としての応用が期待できるという。

今後,既存材料との組み合わせにより資源・エネルギー・環境に関する様々な問題を解決する新しい材料としての利用が期待されるほか,他の二ホウ化金属や得られたホウ化水素シートをスタート物質として用いることにより,別の新しい二次元物質群の生成も期待されるとしている。

キーワード:

関連記事

  • 東大ら,MoS2エッジ表面加工の分光測定に成功

    東京大学,東北大学,京都大学は,レーザー加工と顕微分光を用いることで,触媒活性サイトが存在していると考えられてきた二硫化モリブデン(MoS2)のエッジ表面における電子状態と化学反応を選択的に直接観測することに成功した(ニ…

    2025.10.30
  • 京大ら,磁場によって単一光子の発生効率を向上

    京都大学と物質・材料研究機構(NIMS)は、次世代半導体である二セレン化タングステン(WSe2)にわずかな欠陥を導入し,そこから発せられる光(発光)を通して,単一光子源としての機能を調べた結果,わずかな磁場をかけると,発…

    2025.06.13
  • 東北大ら,光電融合に適したSnS大面積単層結晶合成

    東北大学,量子科学技術研究開発機構(QST),英ケンブリッジ大学は,二次元原子層物質の硫化スズ(SnS)の大面積単結晶の成長に成功し,さらにその結晶を単層厚さに薄膜化する新たな手法を確立した(ニュースリリース)。 地球上…

    2025.06.04
  • 東北大,2次元半導体中での添加元素の影響を予測 

    東北大学の研究グループは,二硫化モリブデンに27種類の元素を導入した際の安定な原子構造や電気特性を,密度汎関数理論に基づく精緻な計算機シミュレーションにより明らかにした(ニュースリリース)。 単層が原子3個分の厚さから成…

    2024.12.06
  • 京大ら,高プロトン伝導性で化学的に安定なCOF形成

    京都大学,名古屋大学,横浜市立大学は,高いプロトン伝導性と高い化学的安定性を両立する高結晶性の共有結合性有機構造体(COF)の形成に成功した(ニュースリリース)。 COFの中心骨格にπ電子系化合物を用いることで二次元平面…

    2024.08.19
  • 名城大,単層CNTを液相法で安価に合成

    名城大,単層CNTを液相法で安価に合成

    名城大学の研究グループは,液体のエタノール中で単層カーボンナノチューブ(単層CNT)を作り出す方法を開発した(ニュースリリース)。 現在,CNTの作製には,炭素を含む原料ガスを触媒金属と高温で反応させる化学気相成長法(C…

    2024.08.02
  • NTT,グラフェンプラズモン波束を発生/制御/計測

    日本電信電話(NTT)は,パルス幅として世界最短(1.2ピコ秒)となるグラフェンプラズモン波束を電気的に発生・伝搬制御することに成功した(ニュースリリース)。 テラヘルツ(THz)波を使った高速な無線通信やセンシング,イ…

    2024.07.26
  • 東北大ら,表面処理で二次元半導体の電荷制御に成功

    東北大学とNTT物性科学基礎研究所は,二次元半導体から三次元半導体への電子の移動効率の向上と,二次元半導体の電荷状態を制御することに成功した(ニュースリリース)。 二次元ファンデルワールス材料は,表面に未結合手を持たず,…

    2024.07.11

新着ニュース

人気記事

新着記事

  • オプトキャリア