矢野経済研究所では,ディスプレーメーカー,部材メーカー,製品メーカー,大学・各種研究機関等を多少として,マイクロLED世界市場の調査を実施した(ニュースリリース)。
この調査におけるマイクロLEDとは,今後,ディスプレーや車載用ヘッドランプ,バイオ・医療機器,Li-Fi(ライファイ)通信,スマート繊維などのアプリケーションに搭載可能性のある100μm以下の超小型LEDを指す。また,この調査におけるマイクロLED市場規模は,マイクロLED光源と実装工程におけるコストを推定し,算出している。
それによると,2017年のマイクロLED世界市場規模は,700万ドルの見込み。ソニーがマイクロLEDを用いた高画質ディスプレーシステムの発売を開始したことで,2017年から一部ではあるものの,市場が形成されている。
近年はマイクロLEDディスプレーの商用化に成功したソニーの他にも,AppleやFoxconnなどの大手企業もマイクロLED市場への参入を図っている。ただし,マイクロLEDはディスプレーの大量生産に向けた製造技術や装備の開発がまだ十分に実現できておらず,生産性や歩留まり,コスト,サプライチェーンなどの面において解決すべき課題が山積みされている。
当面は従来技術では対応が難しく,マイクロLEDの特性を生かしながらも従来技術並みのコスト・パフォーマンスを実現できるニッチな範囲で,ディスプレーアプリケーションを中心に採用が始まると予測する。
2017年以降ディスプレー向けを中心に採用が始まり,2020年頃にはディスプレー以外の車載用ヘッドランプやLi-Fi通信,スマート繊維,バイオ・医療機器などにも採用が開始される見込み。ただし,まだ製造技術やコスト,安全性などの面で課題が多いため,それらのアプリケーションが市場全体に占める比率は一部に止まるとしている。
一方で,ディスプレー向けの採用は拡大し,2020年におけるマイクロLED世界市場規模は2億2,400万ドル,2025年には45億8,300万ドルに拡大すると予測する。