東京工業大学らの国際共同研究グループは,火星の衛星「フォボス」と「ディモス」が月の起源と同様に,巨大天体衝突(ジャイアントインパクト)で形成されうることを明らかにした(ニュースリリース)。
世界最高解像度の巨大衝突シミュレーションによって,火星衛星がどのような物質でできているのかを理論予想した。その結果,火星衛星を構成する粒子の典型的な大きさが0.1 μmの微粒子と,100μmから数mであることが分かった。
微粒子の存在により,衛星の滑らかな反射スペクトルの特徴が巨大衝突説の枠組みと矛盾しないことを確認した。
また,火星衛星を構成する材料物質の約半分が火星由来であり,残りは衝突天体由来であること,さらに衛星が含む火星由来の物質の約半分は衝突当時の火星表層から50−150kmの深さから掘削された火星マントル物質であることを明らかにした。
これは宇宙航空研究開発機構(JAXA)が2024年打ち上げを予定している火星衛星サンプルリターン計画(MMX)によって,衛星から火星本体の物質を地球に持ち帰る可能性が高いことを意味するものだという。