矢野経済研究所では,抵抗膜方式の車載用タッチパネルメーカー,静電容量方式の車載用タッチパネルメーカー,透明導電性フィルムメーカー,カバープラスチックメーカー,カバーガラスメーカー,コントローラーICメーカー,OCAメーカー等を対象として,車載用タッチパネル及びその部材の世界市場の調査を実施した(ニュースリリース)。
この調査における車載用タッチパネルとは,カーナビゲーション等の車載機器向けに搭載される,抵抗膜方式タッチパネルモジュールや,アウトセルタイプの静電容量方式タッチパネルモジュール,インセルタイプ・オンセルタイプの静電容量方式タッチ機能内蔵型ディスプレイを対象とした。赤外線方式のタッチパネルモジュールは2014年まで一部搭載されたが,その後採用拡大には至っていない。
車載用タッチパネル(TP)は従来のカーナビケージョンに加え,スマートフォンと接続したメール送受信や情報表示などが行えるディスプレイオーディオ(DA),車の後部座席に装着し移動中にインターネットや映画視聴などが可能なRSE(Rear Seat Entertainment)など,車載向け表示デバイスの搭載拡大に伴い,これらの表示デバイスを操作するためのユーザーインターフェース(UI)として採用が拡大している。これらを背景に,2017年の車載用TPの世界市場規模はメーカー出荷量ベースで前年比106.1%の4,704万パネルを予測する。
車載機器向けに搭載される車載用タッチパネルには,抵抗膜方式と静電容量方式,赤外線方式があり,現状,抵抗膜方式と静電容量方式の2つの方式が主流となっている。しかし,カーナビ等の純正マーケットを中心に抵抗膜方式TPから静電容量方式TPへの需要シフトが加速し,2017年の車載用静電容量方式TP世界市場規模は前年比134.0%の2,434万パネルを予測する。
静電容量方式TPはマルチタッチや高感度なタッチ等の操作性に加え,異形・曲面のデザイン性,大画面化への対応等が特徴であり,特に,曲面や異形形状に対応可能な部分で自動車のデザインの自由度を拡げた点などが自動車メーカーやTier1に評価されており,今後も採用が拡大するとみる。
車載用TPは操作性に加え,異形や曲面化などのデザイン性向上,車載用ディスプレイの大型化への対応などに対する自動車メーカーやTier1の要望はさらに高まると予測する。車載用静電容量TPはこうした多様な顧客ニーズに対応可能なUIとして今後も市場拡大が続き,2020年には車載用タッチパネル市場全体のうち72.6%が静電容量方式になると予測する。