上智大,直径0.3㎚の銀ナノワイヤーの作成に成功

上智大学は,DNAと銀でできた世界最細のワイヤーの作製に成功した(ニュースリリース)。

DNAはすべての生物が遺伝情報として持っている物質で,壊れにくい,生体適合性が高い,環境負荷が低い,などの優れた性質を有した二重らせん構造の細長いひも状分子。一方,金属の中でも特に銀は導電性や熱伝導性に優れ,高い抗菌活性も有している。

研究グループは,直径2㎚のDNA二重らせん中に銀原子を1個ずつ一列に並べることで,世界最細のワイヤーの作製に成功した。具体的には,DNA二重らせん中の塩基対と呼ばれる構造を,銀原子が介在した特殊な塩基対に置き換えることで,銀原子の精密な配置を実現した。

銀原子が1個ずつ近距離・等間隔に縦列しているため,金属ワイヤーの直径はわずか0.3㎚になる。つまり,これより細いワイヤーを作るこ とは事実上不可能。なお,現在のところ0.1ミリメートル程度の長さのワイヤーの作製に成功している。

この「DNA-銀ハイブリッドナノワイヤー」の作り方はとても簡単で,特定の塩基配列を持つDNAと硝酸銀などの市販の試薬を混ぜて室温で数日間精置するだけで完成する。このワイヤーの導電性や熱伝導性などについては今後詳しく評価する必要があるが,DNAと銀のそれぞれの特性を融合させた新しい素材として,ナノテクノロジーやライフサイエンスなどの幅広い分野での応用が期待できるとしている。

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