新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は,太陽光発電の発電コストのさらなる削減を目指して,太陽光電池モジュール以外の周辺機器や工事などの初期導入コストの低減を目指す2テーマ,発電量を10%以上増加させシステム効率の向上を目指す2テーマ,計4テーマの研究開発を開始した(ニュースリリース)。
2012年からスタートした固定価格買取制度(FIT)により太陽光発電の大量導入は進んだが,買い取り費用の国民負担増を抑制するため,さらなる太陽光発電コストの低減が求められている。このような状況のなか,経済産業省の調達価格等算定委員会において将来の調達価格の目標とその実現に必要なシステム価格の想定値が示された。
NEDOは,太陽光発電の大量導入社会を支えるプロジェクトとして,2014年から2018年までの5年間の計画で進めている「太陽光発電システム効率向上・維持管理技術開発プロジェクト」において,これらの目標値を追加した公募を行なった。その結果,実施期間を2年間として,太陽光発電システムのBOSコスト(周辺機器,工事を含めた太陽電池を除く発電システムの初期導入コスト)低減を目指す技術開発2テーマと,発電量を10%以上増加させシステム効率向上を目指す技術開発2テーマを新たに採択した。
このうちBOSコスト低減については,住宅用(10kW未満)の場合,2019年にシステム価格30.8万円/kW以下,非住宅用(10kW以上)の場合,2020年にシステム価格20.0万円/kW以下を実現する技術開発を実施するとして,三洋電機とカネカが委託予定先となっている。
また,システム効率向上(発電量の増加)については,BOSコストは現状の水準を維持しつつ,システム全体での発電量を10%以上向上する技術開発を実施するとして,カネカと公害技術センターが委託予定先となっている。
NEDOは、これらの採択テーマの技術開発を通じ,太陽光発電システムの発電コストを低減し,FITに頼らない太陽光発電の普及を目指すとしている。