群大,2D顕微鏡画像と3D形態画像を両方取得する手法を開発

著者: sugi

群馬大学は,1つの生物標本から,2D顕微鏡画像と3D形態画像の両方を取得する新しい観察手法を開発したと発表した(ニュースリリース)。

医学・生物学の研究において,光学顕微鏡による観察法は17世紀に顕微鏡が発明されて以来,基本的かつ一般的な研究手法となっている。顕微鏡による観察は,細胞や組織の形態を解析したり,タンパク質などの目的分子の分布を解析するために行なわれる。

その際,通常,生物標本はごく薄い切片にしてスライドガラスに貼り付け,プレパラートにする。しかしながら,切片から得られる情報は平面的であり,本来,標本が持っていた立体的な形状,3D情報は失われてしまうという悩みがあった。

そこで研究グループは,1つの生物標本から2D顕微鏡画像と3D形態画像の両方を取得する手法を開発した。これは1つの標本で,切片を用いた2D顕微鏡画像と3D画像を相関させられる唯一の方法となるもの。

開発した装置は、クリオスタット,一眼レフカメラ,電子工作部品からなる。クリオスタットは,専用のカミソリ刃で,凍結した標本を薄切していく機器。薄切した切片をスライドガラスに貼り付けて,顕微鏡で観察する。

装置は薄切と同時に,標本の切削面を一眼レフカメラで撮影する。クリオスタットのハンドル位置をセンサーが検知して,カメラのシャッターを押す装置を製作した。薄切の途中で,標本が指定した位置に来ると,カメラが切削面を撮影する。ひとつの標本で500〜1000枚ほど,切削面の写真を撮る。

切削面の連続写真は,コンピューター上で3D画像として再構築される。装置製作や撮影手順に関するすべての情報(設計図,部品,プログラム,手順)は,発表論文で公開され,だれでも利用することができる。

従来,切片だけを顕微鏡観察するときの悩みは,標本本来のの立体的な形状情報が失われてしまうことだったが,これが解消する。この手法は,生物学研究における顕微鏡解析の信頼性向上に寄与するとしている。

さらなる利点として,既存の3D画像を取得する装置に比べて安価であることや,手順が簡便であることも挙げられる。現在,研究用の3D画像を取得する装置として,CTやMRIがある。また,抗体染色や遺伝子改変によって目的分子を標識した標本を,共焦点レーザー顕微鏡で観察すると,タンパク質分子の分布を3Dで可視化することができる。

しかしながら,CTやMRIは,形態を解析することは得意だが,目的分子の分布を解析することはまだ難しく,高価でもある。目的分子を標識する方法では,標識された分子以外は透明化してしまうため,標本本来の形態解析には適していない。開発した装置は,これらの3D画像装置とあわせて,医学をふくめた生物学研究において,広い分野で普及する可能性をもっているとしている。

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