矢野経済研究所では,デジタルサイネージシステム関連事業者,広告会社,ハウスエージェンシー,媒体社等を対象として,国内のデジタルサイネージ市場の調査を実施した(ニュースリリース)。
それによると,2016年度のデジタルサイネージ市場規模は,前年度比116.2%の1,487億7,500万円と推計。イニシャルコスト(初期投資費用)やランニングコスト(運用・管理維持費用)の低価格化などにより導入が増加し,2017年度は前年度比120.3%の1,789億2,000万円に達すると予測した。
デジタルサイネージ市場のうち,システム販売/構築は,手軽に,且つ安価にデジタルサイネージを導入したい層と,スマートフォンなどとの連携やマーケティングデータとして活用する目的でデータを取得するなど高付加価値なデジタルサイネージを導入したい層に二極化している。
デジタルサイネージは一方的に情報を伝えるツールではなく,コミュニケーションツールとして捉えられるようになり,最近では大型のみならず,小型のデジタルサイネージにも付加価値の高いものを求めるユーザー企業が増加傾向にあり,活況を呈しているという。
デジタルサイネージ市場は,訪日外国人向け対応や,東京オリンピック・パラリンピック(2020東京大会),「地方創生」などが追い風となり,2020年度には3,361億7,000万円に達すると予測する。一方で,2020東京大会後は広告の掲出が縮小するとみられ,都内における設置は弱まるものの,観光用途など,地方でのデジタルサイネージ設置は今後も増え続けることを見込む。
「地方創生」の背景には日本政府が掲げる「まち・ひと・しごと創生基本方針2016」(2016年6月)に基づく財政支援としての地方創生推進交付金があり,これを利用し,地方創生の一環としてローカルブランディング目的で同交付金を得,観光名所などにデジタルサイネージを設置する事例が増えているという。