物質・材料研究機構(NIMS)と早稲田大学らは,国内外の研究機関との国際共同研究において,高分子を鋳型として活用することで,均一で規則的なナノ空間を持つロジウムナノ多孔体(メソポーラスロジウム)の開発に成功した(ニュースリリース)。
内部に直径数ナノメートルの細孔状の空間が配列し,体積に比べて大きな表面積を有するナノ多孔体は,これまでにない新たな化学反応の場をもつ材料として期待され,触媒材料及び吸着材料等へ向けた研究・開発が活発に行なわれてきた。
現在まで,有機金属錯体(又は,多孔性配位高分子),メソポーラスシリカ,ゼオライトなど様々な多孔体が報告されている。特に,金属骨格を有するナノ多孔体は今までにない応用展開が期待できると考えられている。
他の金属と比較してもロジウムは,顕著な一酸化窒素(NO)還元活性を有するため自動車排ガス浄化用触媒として用いられており,産業上重要な元素であることが知られている。しかし,ロジウムは希少で高価なため,いかに少量のロジウムで最大限の効果を引き出せるかが研究の焦点になってきている。
研究では,疎水性と親水性の性質をあわせ持つ高分子(両親媒性ブロックコポリマー)の希薄溶液中で濃度を調整することで,均一なサイズの球状ミセル(分子集合体)を形成させた。これらを鋳型として用いて,精密な条件下でロジウムイオンを化学還元させた結果,ミセルのサイズに応じたナノ細孔を有するロジウム粒子の形成に成功した。
市販のロジウム触媒と比較しても,メソポーラスロジウムは抜群のNO還元活性を有し,またメタノール酸化反応などにおいても高い電極触媒活性を示した。このように,金属にナノ空間を形成し,活性を向上させるという指針は,これまでの触媒設計の概念にはなく,今後あらゆる方面で注目されるとしてる。