パナソニックは,自社内で製品検査等に用いてきた赤外線解析による非破壊検査技術(応力測定技術)を,高速道路の鋼橋などといったインフラの診断への適用を目指して研究を重ねてきた(ニュースリリース)。
この技術の実用化による事業化を目指し,阪神高速道路と鋼橋の寿命診断を行なう,第二次共同研究の契約を2月に締結した。この契約による実証を2018月3月末まで行なう予定。
同社の技術は,赤外線を活用した応力測定技術で,同社の業務用機器の設置用金具の耐久検査などに活用してきたもの。これは,対象材料に生じる力に比例して起こる表面の微小温度変化を捉えることで応力を測定する技術。独自のアルゴリズムを用いた応力測定技術を確立し,鋼橋等インフラの診断への応用の研究に取り組んできた。
これにより同社は,阪神高速道路が2015年5月20~21日に開催した「コミュニケーション型技術募集・共同研究の公募相談会」に応募し,審査の結果,共同研究のパートナーとして選定された。阪神高速道路の鋼橋維持管理ノウハウと同社の赤外線応力測定技術,画像解析技術やSIスキルを組み合わせた,新しい鋼橋検査手法を確立し,高度化・効率化に異業種連携で取り組むことで合意した。
第一次共同研究(2016年1月末~2016年6月末)では,同社の赤外線を用いた応力測定技術が,鋼橋の疲労照査に活用できる実用レベルの精度であることを実証実験にて確認できた。そして,昨年末からの第二次共同研究(2018年3月末)では,第一次共同研究での実績をもとに,より実用的な寿命診断適用へ向けた共同実証実験をスタートさせた。
同社は,この共同研究での実証実験の実績をもとに,今後,インフラ老朽化対策へ向け,鋼橋の寿命診断するための応力頻度測定までを含めたシステムの実用化および事業化を目指すとしている。