筑波大ら,「時間結晶」の室温観測に成功

筑波大学と量子科学技術研究開発機構,住友電気工業,米ハーバード大学,独ウルム大学,米プリンストン大学,米カリフォルニア大学バークレー校などのグループとの共同研究により,室温での離散的時間結晶の生成を実験により実証することに成功した(ニュースリリース)。

液体から結晶への相変化のように,3次元空間の並進対称性の破れは,物性分野で既に知られているのに対して,時間並進対称性の破れは,その存在が理論的に予測されるにとどまっていた。

研究では,ダイヤモンド結晶中の強い相互作用と不規則性とをあわせもつ,約100万個の量子電子スピン集団を用いて,室温での離散的時間結晶の生成の観測に成功した。

この試料は,研究グループが開発した高温電子線照射技術によって作製されたもので,ダイヤモンド結晶中のNVセンターを平均距離5nmという世界最高濃度で含んでいる。

このような,時間並進対称性を破った離散的時間結晶という新しい相を,非平衡状態の量子系で実現できたことは,量子多体系のダイナミックス制御のマイルストーンとなる成果であり,量子コンピューティングの量子メモリや量子計測の高精度化への応用も期待されるものだとしている。

キーワード:

関連記事

  • 【解説】ダイヤモンド半導体の産業化へ、日本勢の挑戦が加速

    人工ダイヤモンドメーカーのOrbray(東京都足立区)はこのほど、世界最大級の人工ダイヤモンドメーカーであるElement Six(英国 ロンドン)との提携を発表した(ニュースリリース)。両社はウエハースケールの単結晶ダ…

    2026.06.22
  • 東北大、MEMSでダイヤモンド光デバイスの共鳴波長制御に成功

    東北大学は、超ナノ微結晶ダイヤモンド(UNCD)製フォトニック結晶とMEMSアクチュエータを集積した新しいダイヤモンド光デバイスを開発し、MEMSによる機械的変形を用いて共鳴波長を制御することに成功した(ニュースリリース…

    2026.06.18
  • 阪大など、ナノダイヤモンドの高圧選別に成功 高感度センサーへの応用に期待 

    大阪大学、ダイセル、立命館大学は、欲しい波長で光るナノダイヤモンドだけを光の圧力(光圧)で選別することに初めて成功した(ニュースリリース)。 ダイヤモンドの色中心と呼ばれる構造が注目されている。これは透明なダイヤモンドに…

    2026.04.03
  • 東大、量子状態が分からなくても取り出せるエネルギーを評価

    東京大学の研究グループは、物質の最小の構成要素である量子に対して成り立つ熱力学の枠組みで、与えられた量子状態の詳細に一切依存せず、最適な仕事の取り出し性能を達成する単一の熱力学的な操作が存在することを証明した(ニュースリ…

    2026.03.05
  • 理研と東京大、光量子コンピュータの誤り耐性を証明

    理化学研究所と東京大学は、光を用いた量子コンピューターで「誤りに強い計算」が可能であることを示した(ニュースリリース)。 量子コンピューターを実現するためのハードウェアとして、さまざまな物理系が候補に挙がっているが、光は…

    2026.02.27

新着ニュース

人気記事

編集部おすすめ

  • オプトキャリア